発注書・発注請書とは?書き方や作成方法について解説
発注書とは、サービスや商品を発注する際に、取引先にその意思を伝えるために発行する証憑です。こうした商品の売買を行なうのであれば売買契約書を締結するのが通常ではといった疑問を持たれる方や、発注書、発注請書にはどのような内容を記載すれば良いのか分らないという疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。
そこで本記事では発注書・発注請書とは何か、またどのような内容を記載するのかについて解説します。
関連記事はこちら
発注書・発注請書とは?
発注書とはそもそもどのような書式なのでしょうか。また、発注書を作成するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは発注書・発注請書とは?や発注書・発注請書を作成するメリットについて解説します。
発注書・発注請書とは?
発注書とは相手方に物品の売買や業務の委託を申し込むことを内容とする文書であり、発注請書とは相手方の申込み(発注)を受けることの意思表示を行なう書面です。
発注書・発注請書を作成するメリット
発注書と発注請書を作成するメリットは、当事者間でいちいち契約書を作成する手間を省くことができるという点です。継続的な取引を行なう当事者間では取引毎に条件が変らない場合も多く、取引数も多いことから一々契約書を作成して正本して押印してといった手間をかけるのは非常に煩雑です。
そこで、契約に関する基本的な事項は取引基本契約に記載しておき、個別の取引では簡易な発注書と発注請書を交わすといった方法で取引を行う事で効率的に取引を行う事ができます。
このように効率よくスムーズに業務を行う事ができる点が発注書・発注請書を作成するメリットと言えるでしょう。
マイクロソフトで提供されているテンプレートもおすすめ
発注書の書き方
基本的な事項は契約書に記載するとはいえ、発注書にも記載すべき事項があります。特に取引が下請取引に該当する場合には、法律上書面に記載すべき事項が定められています。そこで、ここでは発注書の書き方について解説します。
発注書に記載すべき事項
- 発注元の社名・住所等
発注書を作成した会社の社名や住所、電話番号といった連絡先を記載します。 - 注文の日
発注した日(発注書を作成した日)を記載します。 - 取引内容
発注する商品名や単価および数量といった取引内容を具体的に記載します。 - 取引金額
取引の合計金額を記載します。基本的には税込みの金額を記載しましょう。取引金額は最も重要な情報になるため、他の項目よりも大きな文字で太字で記載するようにしましょう。
下請法に配慮して記載する
相手方と自社の資本金額や取引の内容から下請取引に該当する場合には、発注書には下請法上、記載すべき事項が定められているため、下請法に配慮した内容とする必要があります。下請法で記載すべきとされる事項は以下の通りです。
①親事業者及び下請事業者の商号・名称(事業者別に付された番号、記号等でも可)
②製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日
③下請事業者の給付(又は提供される役務)の内容
④給付を受領する期日(又は役務を提供する期日・期間)
⑤給付を受領する(又は役務を提供される)場所
⑥下請事業者の給付の内容(又は提供される役務の内容)について検査をする場合は、その検査を完了する期日
⑦下請代金の額
⑧下請代金の支払期日
⑨下請代金の全部又は一部の支払につき手形を交付する場合は、その手形の金額及び満期
⑩下請代金の全部又は一部の支払につき、一括決済方式によって支払をする場合には、下記の事項
イ 金融機関の名称
ロ 金融機関から貸付け又は支払を受けることができることとする額
ハ 下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関に支払う期日
⑪下請代金の全部又は一部の支払につき、電子記録債権を利用する方法で支払う場合には、下記の事項
イ 電子記録債権の額
ロ 電子記録債権の支払期日(満期日)
⑫原材料等を親事業者から有償支給する場合には、その品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日、決済方法
下請取引の場合には上記の事項を発注書(3条書面)に記載する必要があります。上記事項の中で下請取引の場合に注意が必要なのは下請代金の額です。下請取引の場合、一方的に下請取引の額を定めたり、相場よりも著しく低い金額を設定すると下請法違反となる可能性があります。そのため、とにかく安く発注しようとすると、下請法違反に問われる可能性があるため注意が必要です。
発注書作成時の注意点
では、その他に発注書を作成する際にはどのような点に注意すべきでしょうか。ここでは発注書作成時の注意点について解説します。
収入印紙の要否に注意
発注書と発注請書は契約書というタイトルでは無いため、収入印紙の貼り付けの必要があるのか迷われる方も多いと思いますが、発注書と発注請書は2つで1セットの契約書のように考えるとよいでしょう。
そして契約が成立した時点で課税文書については収入印紙の貼り付けが必要になるため、申込みを受ける意思表示を行なう発注請書に収入印紙の貼り付けが必要になります。(注文書には貼り付け不要です。)
そのため、課税文書に該当するか否かには注意しておきましょう。
下請取引の場合には支払日に特に注意
下請取引の場合には前述の通り発注書に記載すべき事項が下請法上定められていますが、下請金額の支払日の設定には特に注意が必要です。下請法では成果物を受領した日から60日以内に下請金額の支払日が設定されている必要があります。そのため、下請取引の場合には支払日の設定に注意しましょう。
発注書と見積書の内容が一致しているか確認する
発注書は見積書とワンセットで発行することになります。そのため、見積書の内容と発注書の内容が一致しているかは必ず確認するようにしましょう。これを怠ってしまうと、改めて取引内容を確認する手間が発生してしまい、スムーズに取引が進まなくなってしまいます。
発注書の内容と見積書の内容が一致しているか確認しましょう。
発注書には保存期間がある点に注意
発注書や注文書を含む国税関係帳簿書類については、確定申告書の提出期限の翌日から7年保存することが定められているため、7年間は保存義務があります。
まとめ
発注書は契約書のやりとりをスムーズに進めるために有用ですが、下請取引に該当する場合には記載すべき事項が定められるため、発注書の内容にも注意する必要があります。その他にも収入印紙の要否などにも注意すべきです。本記事を参考に発注書の作成に当たって注意すべき点を押さえて発注書作成業務を行ないましょう。