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正しい訂正印の押し方とは?契約書を訂正する方法について解説!

契約書の締結までには契約書案の作成、修正内容の反映、内容の確定と様々なプロセスを踏むことになりますが、その際には誤記や誤字などの誤りが入ってしまうケースは少なくありません。こうした、契約書のミスを改める方法として契約書の訂正があります。しかし、契約書の正しい訂正方法がわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで、本記事では契約書の正しい訂正方法について解説します。

目次

契約書訂正タイミングと訂正方法

契約書の訂正方法は契約書に関するミスがどの時点で発生したかによって異なります。また、ミスの内容がどのようなものかによって対応方法も異なるため注意が必要です。

契約交渉の段階でミスが発生した場合

契約交渉の段階では当事者間で何度も契約書の案についてやりとりがなされます。その際には修正を行った箇所以外にもミスがないかしっかりと確認する必要があります。
この段階でミスが発覚した場合には契約書のファイルそのものを修正することで対応が可能です。そのため、契約書ファイルの該当箇所を修正し、相手方とその修正についてコンセンサスが形成できれば、その他には特に対応は不要です。
署名押印するまでは基本的に同様の対応を行う事になります。

署名押印後にミスが発覚した場合

署名押印後にミスが発覚した場合にはミスの程度によって対応が異なります。誤字脱字などの軽微なミスの場合には手書きで訂正し、訂正印を押す方法によって対応をします。
これに対して、契約条項を修正する必要がある場合や契約内容が変わる場合には、手書きで修正するのでは無く、覚書や合意書などを用いて、契約書を修正する書面を作成する必要があります。
このようにミスや誤りの内容・程度に応じて対応が異なる点には注意が必要です。

契約書の3つの訂正方法

では、手書きで契約書の訂正を行う場合、具体的にはどのような方法で訂正すればよいのでしょうか。ここからは契約書の具体的な訂正方法について解説します。

訂正方法1:訂正印を用いる方法

契約書の訂正方法としては、訂正印を用いた修正が一般的です。具体的には誤った箇所に二重線を引き、訂正内容を記載します。訂正内容について「○文字抹消、○文字加入」と記載しその右横に訂正印を押す方法が一般的です。具体例で見てみましょう。

①文字が誤って記載されている場合

正:株式会社甲三商事
誤:株式会社甲産商事

この例では「産」の字が誤って記載されているため誤記である事が明らかです。そこで、以下の手順で訂正を行います。

  1. 「産」の文字の上に二重線を引いて抹消します。
  2. 「産」の字の上の欄に「三」を記載します。
  3. 「三」の文字の右横に少しスペースを空けて「1文字抹消、1文字加入」と記載します。
  4. 「1文字抹消、1文字加入」と記載した右横に訂正印を当事者全員が押します。

②文字が不足している場合

正:株式会社甲三商事
誤:株式会社甲商事

この例では「三」の文字が不足しています。そこで「三」の文字を追加する必要があります。

  1. 「甲」と「商」の間に「v」を記載します
  2. 「v」の上に「三」を記載します。
  3. 「三」の文字の右横に少しスペースを空けて「1文字加入」と記載します。
  4. 「1文字加入」と記載した右横に訂正印を当事者全員が押します。

あわせて読みたい▶契約書に収入印紙が必要なパターンとは?よくある質問もご紹介!

訂正方法2:捨印を用いる方法

訂正印を用いて訂正する方法以外にも捨印を用いて訂正する方法もあります。捨印とは、あらかじめ契約書の余白部分に押しておく印鑑のことです。
先ほど解説したように訂正印は訂正箇所ごとに押印が必要となりますが、捨印は余白に1か所押印するだけで済むため、相手方や代理人など本人以外の者も訂正が可能となります。
捨印を用いた具体的な修正方法は以下の通りです。

①文字が誤って記載されている場合

正:株式会社甲三商事
誤:株式会社甲産商事

この例では「産」の字が誤って記載されているため誤記である事が明らかです。そこで、以下の手順で訂正を行います。

  1. 「産」の文字の上に二重線を引いて抹消します。
  2. 「産」の字の上の欄に「三」を記載します。
  3. 捨印の近くに「1文字抹消、1文字加入」と記載する。

②文字が不足している場合

正:株式会社甲三商事
誤:株式会社甲商事

この例では「三」の文字が不足しています。そこで「三」の文字を追加する必要があります。

  1. 「甲」と「商」の間に「v」を記載します。
  2. 「v」の上に「三」を記載します
  3. 捨印の近くに「1文字加入」と記載します。

訂正方法3:覚書または合意書を締結する

単なる誤記の訂正ではなく、金額が異なる場合の様に契約内容に影響する場合には変更契約を締結します。具体的には覚書や合意書などを締結します。
変更契約を締結する上でのポイントは以下の通りです。

①どの契約書を変更するのか明確に記載する

変更契約を締結する際に重要なのは、その変更契約が何を対象にしているのかを明確にすることです。特定の方法としては、契約当事者、契約の締結日および契約名で特定するのが一般的です。
記載例:株式会社甲三商事と乙一工業株式会社との間で2023年1月1日付けで締結された売買契約書(以下「原契約」という。)について以下の通り合意する。

②契約書のどの箇所をどのように変更するのか明示する

次に変更する箇所を明示することです。契約書のどの場所をどのように修正するのか明確に誤りなく記載しましょう。

③効力発生日をいつにするのか明示する

変更契約を締結したのみでは、変更契約の締結日以降、その契約の内容は変更されたものとして取扱われますが、変更契約の締結日によっては、契約の締結日から変更契約の締結日までの契約内容に疑義が生じてしまうケースがあります。そこで、変更契約がいつから効力を発生するのかについて明確に定めておくことが、こうした契約ミスを修正するための変更契約では必要な場合が少なくありません。

契約書訂正に関するよくある質問

  • Q.変更契約書には収入印紙が必要?

A.原契約が課税文書で、その契約の「重要な事項」を変更する場合には変更契約にも収入印紙が必要となります。「重要な事項」についてはこちらをご参考ください。

  • Q.訂正印に使う印鑑はどんな印鑑でも良い?

A.原則として原契約締結のために用いた印鑑と同じ印鑑を使用する必要があります。シヤチハタなどの簡易な印鑑を用いると当事者の意思で変更したのか不明確となるため相手方から疑義を呈される可能性もあります。

  • Q.訂正印は全員が押す必要あるの?

A.全員の合意で訂正したことを証明するために全員分の押印が必要です。一部の者が欠けていると勝手に訂正したといった主張を受けかねません。必ず全員分の押印をするようにしましょう。

  • Q.契約書の訂正に回数制限はある?

A.契約書の訂正回数に上限はありません。訂正印を用いる方法で何度修正しても問題はありません。ただし、修正に関する記載が増えて、どこをどのように修正したのか分らなくなると後から契約の内容に疑義が生じる可能性もあります。また、訂正の回数ごとに全員の押印も必要になるため忘れずに対応しましょう。

契約書の訂正は正しい方法で

契約書の訂正をする際には、勝手に訂正したといった事態を防止するために通常は訂正印を用いて修正します。小さな誤りを正すような契約書の訂正は、本記事を参考に正しい方法で行いましょう。

また、以下では契約書の割印について解説しております。よければご覧ください。

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