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ハラスメントとは?知っているようで知らない定義や予防策について解説

セクハラやパワハラは現在では社会問題として大きく取り上げられることも少なくなく、行われた企業に深刻な影響を与えることになります。しかし、ハラスメントとはそもそも何なのかやどのように予防すればよいのか分からないという方も少なくないでしょう。そこで本記事ではハラスメントについて知っているようで知らない定義や予防策について解説します。

目次

ハラスメントとは

ハラスメントとは嫌がらせやいじめといった訳がされる言葉です。広い意味では人権侵害を意味しており、性別・年齢・職業・宗教・人種・国籍・身体的特徴、セクシュアリティなどに関する言動によって相手に不快感等を与える行為がこれに該当します。
このようなハラスメントには様々な種類があり、セクハラやパワハラなどが代表的ですが、それ以外にもマタハラやモラハラ、レリハラ(レリジャスハラスメント)など多種多様です。
近年ではハラスメントについては法律面での対応も進んでおり、パワハラは「労働施策総合推進法」、セクハラは「男女雇用機会均等法」、マタハラは「育児・介護休業法」において具体的な内容が示されている点には留意しておく必要があります。

ハラスメントの種類

ではハラスメントにはどのような種類があるのでしょうか。ここからはハラスメントの具体的な種類について解説していきます。

法令上ハラスメントとして定められたもの

セクシャルハラスメント(セクハラ)

セクシャルハラスメントとは意に反して行われる性的な言動等を指しますが、雇用機会均等法においては以下のように定義されています。
職場におけるセクシュアルハラスメントは、「職場」において行われる、「労働者」の意に反する 「性的な言動」に対する労働者の対応により労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」に より就業環境が害されることです。
ここでのセクシャルハラスメントには異性間だけでなく同性間のものも含まれる点には留意が必要です。

パワーハラスメント(パワハラ)

ハラスメントの代表格であるパワハラは労働施策総合推進法において定義されていますが、厚生労働省はパワハラについて以下のような定義を行っています。それによると、

パワハラとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすもの。

それぞれの要素をもう少し詳しく見ていきましょう。
①は、「優越的な関係」であったかどうかがポイントとなりますが、その例としては上司から部下への言動であった場合だけでなく、同僚または部下からの集団による行為で、これに抵抗または拒絶することが困難であるケースも含まれます。
したがって必ずしも上司から部下へのもののみがパワハラに該当するとは限らない点には注意が必要です。

②は、社会通念上、その言動が明らかに業務上必要性の無いものである場合やその態様が相当でないもののことをいいます。
ミスをした部下をライターの火で脅したりする行為は明らかに業務上必要性の無いものであると言えますし、長時間にわたって仕事上のミスについて大勢の前で長時間叱責などをする行為は態様が相当で無いといえるでしょう。

③については、「言動により労働者が身体的または精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なものとなったため、就業する上で見過ごすことのできない程度の支障が生じることとなったかどうか」が判断基準となります。そしてそのように感じるか否かの判断基準については、平均的な労働者の感じ方が基準とされています。
そのため、その労働者がパワハラだと感じても、平均的な労働者がそうは感じない程度のものであれば、この要件は満たさない事になります。

マタニティハラスメント(マタハラ)

マタニティハラスメントとは、女性労働者が妊娠・出産や育児に関し、妊娠・出産したこと、育児休業などの制度を利用を希望または利用したことを理由として同僚や上司などから嫌がらせを受け、就業環境を害されることをいいます。
なお、法令や指針ではマタニティハラスメントという言葉は使われておらず、パタニティハラスメント、マタニティハラスメント、ケアハラスメントの3つをまとめて「職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」と呼んでいます。
マタハラの特徴は女性労働者に対して行われるハラスメントである点が挙げられるでしょう。

パタニティハラスメント(パタハラ)

パタニティハラスメントとは、男性労働者が育児のために育児休業や看護休暇等の利用を希望し又は利用したことを理由に同僚や上司などから嫌がらせを受け、就業環境を害されることをいいます。
こうした定義からも分るように、出産や育児に関するハラスメントのうち、女性に対するものをマタハラと呼び、男性に対するものをパタハラと呼んでいます。

一般的なハラスメント

この他のハラスメントとしてはモラルハラスメントやアルコールハラスメント、カスタマーハラスメントなど様々なハラスメントが一般的には存在しています。

ハラスメントが発生する理由・原因

では、このようなハラスメントは何故発生するのでしょうか。ここからは発生の理由や原因について解説します。

コミュニケーション不足

ハラスメントは相手方が不快に感じるかどうか、つまり相手方の主観によるところが大きく、コミュニケーションが十分に行われている場合には相手方の性格などを知った上でコミュニケーションが行われるため相手方が不快に感じる言動は起こりにくくなりますが、コミュニケーションが不十分だと相手方の性格などを無視した言動が行われやすくなり結果としてそれがハラスメントにつながるといった結果になるのです。

価値観の違い

ハラスメントが行われた際にしばしば見られるのが被害者は深刻なダメージを受けているのに対し、ハラスメントを行った側は特に悪いことをしたとは感じていないという光景です。このように価値観にズレがある場合にハラスメントが行われる例は少なくありません。重要なのは言動を受ける側がどのように感じるかを考え、価値観のギャップを埋めるように努力することです。

偏見

価値観とも関連しますが、本人が無意識のうちに抱いている偏見がハラスメントを助長してしまう結果となるケースも少なくありません。こうした無意識の偏見はコンプライアンス研修などを通じて現代の価値観にアップデートしていくことで是正が可能です。

ハラスメント防止のための予防策

ハラスメント防止のために必要な措置として厚生労働省は以下の様な措置を講じることを事業主に求めています。

  • 事業主の方針等の明確化・周知・啓発
  • 相談・苦情に応じる体制の整備
  • ハラスメントが発生した場合の迅速・適切な事後対応

このうち、相談・苦情に応じる体制の整備では、相談への対応のための窓口をあらかじめ定めておき、労働者に周知することが求められています。そのため、相談窓口を実際に設け、その利用を労働者に促すことが求められる点には注意が必要です。

まとめ

ハラスメントは現代では多種多様なものがハラスメントとして認められており、全てを網羅するのは非常に難しくなってきています。しかし、いずれも共通するのは、価値観の違いや偏見などに根ざした言動であるという点が特徴と言えるでしょう。
コンプライアンス研修などを通じて現代の価値観へとアップデートを行う事で防げるハラスメントも多数存在します。
まずはコンプライアンス教育をしっかりと実施するところから始めて行くと良いでしょう。

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