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捺印と押印の違いとは?それぞれの意味や法的効力について詳しく解説!

捺印と押印の違いとは?それぞれの意味や法的効力について詳しく解説!

印鑑を押す行為には「捺印」や「押印」といった表現があり、それぞれ意味が異なります。また、法的効力にも差異があるため、ビジネスマナーとして理解しておく必要があります。そこで本記事では、捺印と押印の意味・法的効力の違いやよくある質問について詳しく解説します。

目次

捺印と押印の違いについて

捺印と押印の違いについて

捺印は「署名捺印」のことで、自分で書面に氏名を記載した後、印鑑を押す行為のことを指します。
押印は「記名押印」のことで、すでに氏名が印刷されていたり、代筆されたりしているなど、自筆以外の方法であらかじめ名前が記載されている書面に印鑑を押す行為を指しますが、印鑑を押す行為そのものを押印と呼ぶことも少なくありません。
つまり、捺印と押印の違いは、自身で書面に名前を記載するかしないかの点だけです。ただ、両者には法的効力に大きな違いがあります。法的効力については後ほど詳しく解説します。

捺印・押印の法的効力の違いとは?

捺印・押印の法的効力の違いとは

捺印・押印で法的効力がどう変わるのかを、次の3項目に分けて解説します。

  • 署名と記名
  • 印鑑の種類
  • 署名捺印と記名押印

それぞれ詳しくみていきましょう。

署名と記名

署名と記名の概要は次のとおりです。

  • 署名:自身で氏名を手書きすること
  • 記名:手書き以外で氏名を記載すること

署名と記名の違いは、本人かどうか証明できるかどうかです。署名の場合、筆跡鑑定によって本人が記載したと証明できます。
一方、記名は誰でも複製ができ、改ざんの恐れもあるため、これだけでは証拠能力を高められません。そのため、署名の方が、証拠能力が高いです。

印鑑の種類

印鑑の種類の違いで証拠能力に差はありません。ただし、認印と役所に登録している実印では、証拠能力に差が生じます。実印は役所が本人証明してくれるため、認印と比べて証拠能力が高いです。

署名捺印と記名押印

前述のとおり、記名押印はパソコンや代筆など、手書き以外で氏名を記載して印鑑を押すのに対して、署名捺印は自身で氏名を手書きしたうえで印鑑を押します。

誰でも複製可能な記名押印と、筆跡鑑定による本人証明が可能な署名捺印では、署名捺印の方が法的効力は大きいです。また、署名だけ、記名だけも含めると、法的効力の違いは次のようになります。

捺印>署名だけ>押印>記名だけ

また、高い証拠能力を持たせたいのであれば実印による捺印をおすすめします。

捺印・押印に使う印鑑の種類

捺印・押印に使う印鑑の種類

ビジネス上で捺印・押印に使用する印鑑の種類は以下の5つです。

  • 代表者印(会社実印)
  • 銀行印
  • 角印(会社印・認印)
  • 役職印
  • 個人印

各種類について詳しく解説していきます。

代表者印(会社実印)

代表者印とは、会社実印ともいい、名称どおり会社の実印ともいえる印鑑です。法人登記を行う際、法務局への届出が義務付けられているため、どの会社にも代表者印は存在します。
会社が使用する印鑑は様々な種類がありますが、代表者印はその中でも最も高い法的効力を持っている印鑑です。そのため、会社の代表として契約締結する際はもちろん、株券発行や企業買収など、重要なシーンでは必ず用いられます。
代表者印の形状は二重丸の形をしたものが一般的であり、外枠に会社名、内枠に代表取締役などの役職名が掘られています。

銀行印

銀行印とは、銀行や金融機関に届けを出して作られる印鑑のことです。口座開設や手形・小切手に押印する際に使用される他、資金の引き出しや借入時にも使用されます。
銀行印の形状は代表社印と同じですが、サイズは代表者印よりも一回り小さいサイズで作られるのが一般的です。

角印(会社印・認印)

角印とは、会社印や認印とも呼ばれている印鑑です。認印であることから登録は不要で、主に領収書や見積書、社内文書などに使用されています。
印鑑の形状は名称のとおり、四角形となっていることが多く、内側には企業名が記載されていることが一般的です。

役職印

役職印とは、職印とも呼ばれ、部長・課長などの役職持ちの方向けに作られる印鑑のことです。役職員は登録不要の認印であり、決裁権限を持っている方が、社内文書への承認や社外契約書を作成する際に使用されています。
前述した代表印と同じく、外枠に企業名、内枠に役職名が掲載されていることが一般的です。

個人印

個人印とは、社員個人が社内で使用する認印のことです。個人印はどこでも購入できるような印鑑であり、なりすましリスクが高いため、証拠としての役割は弱く法的効力は期待できません。
そのため、社内での意思確認など、法的効力などが不要なシーンで使用されることが一般的です。

捺印・押印の正しい位置

捺印・押印の正しい位置は、印鑑証明の必要性、法人印の有無によってルールが異なります。実印を用いる場合、実印が本物かどうか表す印鑑証明が必要です。

印が他の文字と被っている場合、印鑑証明ができなくなる可能性が高いため、実印を押す際は、他の文字と被らないように注意する必要があります。一方、印鑑証明が必要のない契約で捺印・押印する際は、印鑑の複製・偽装といった悪用を防止するために、他の文字に少しかぶせるようにして押します。

なお、印と記載されているなど、印鑑を押すべき位置が書類上で決められている場合、その位置に印鑑を押せば問題ありません。法的効力が発揮しないという事態にならないためにも、捺印・押印の位置は正しく把握しておく必要があります。

よくある質問ー押捺・調印の意味

捺印と押印の違いでよくある質問として、押捺の意味、また調印の意味についてが挙げられます。それぞれについてわかりやすく解説いたします。

押捺の意味

押捺とは、判を押すという意味であるため、押印と押捺はどちらもほぼ同じ意味合いとなります。ただし、押捺は拇印を押すという意味で使用されることも少なくありません。拇印とは、指先に朱肉をつけて、印鑑の代わりに押すことです。

調印の意味

調印とは、企業間の経営に関わる協定や取引に関連する契約、国同士の条約など、重要度の高い取り決めの際に使用されます。調印のポイントは「重要な取り決め」であるかどうかです。
そのため、普段から取り交わされている一般的な契約などでは、調印という言葉は使用されません。また、ハンコ文化は日本独自の文化であるため、国同士や海外企業との調印の場合は、サインなど署名で行われます。

脱ハンコなら電子契約の導入を!

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捺印と押印の違いや法的効力から見る違い、ビジネス上で捺印・押印に使う印鑑の種類についてご紹介しました。実印か認印かで法的効力の違いはあるものの、印鑑の種類によって法的効力の違いはありません。
当記事で紹介したとおり、法的効力に大きな違いが生まれるのは、署名や記名か、捺印か押印かなど、どのような形で氏名を記載したか、どのような形で印鑑を押したかです。そのため、何も考えないまま、ただ言われたとおりに押印したり、記名したりすると、いざという時に本人だと証明できないという事態になりかねません。
法的効力の有無を理解したうえで、捺印・押印を使い分ける対応が大切です。電子契約によって電子署名にできれば、ハンコから脱却できるため、出社が不要になったり、捺印・押印を使い分ける手間を始め業務の負担を軽減したりすることができます。「電子署名」に関する詳しい内容は次のページで解説しています。 ぜひこちらも参考にご覧ください。

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