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一人法務をこなすための3つの成功術!構築すべき体制の種類や優先順位も解説

企業の法務担当者の中には一人で全ての法務業務を務める一人法務があります。一人法務の担当者の中には、法務業務を一人でこなしながら、別の業務をサポートする場合もあります。本記事では一人法務を成功に導くためのポイントについて解説します。一人法務を構築する際の体制や優先順位についてもわかりやすく紹介します。

目次

一人法務とは?

一人法務は、企業の法務業務を一人の担当者が務めることです。スタートアップ企業やベンチャー企業に多く、役員などの上層部が行っていた法務業務を専門知識を有した弁護士に任せるという事例も多いです。
一人法務の担当者は一人しかいないため、社内に法務部を設けることは少なく、経営管理や総務などに所属することになります。そのため、企業の規模によっては法務業務だけでなく、社内業務の全般を担当することもあります。
当然ながら、一人で会社の法務業務をすべて担当するため、契約更新などの繁忙期は休みが取れなかったり、仮に体調不良などで不在になると業務が止まってしまうという悩みを持たれる方が多いです。
一人法務は担当者が悩みを抱えやすいです。一人で全ての法務業務を担当することになるため、実務に関わる基本的な知識やノウハウを自ら学ばなければなりません。
また、企業の規模によっては扱う業務の範囲が幅広くなるため、業務時間も長くなりがちです。そのため、業務効率化を考えながら進めることが成功の秘訣と言えるでしょう。

一人法務を成功させるための3つのポイント

ここからは、基本的な知識やノウハウを自ら学ばなければならない一人法務を成功させるための3つのポイントについて詳しく解説します。

1.事業部門と良好な関係を築く

一人法務を成功させるには事業部門と良好な関係を築くことが大切です。法務部門は事業部門に比べるとお堅いイメージを持たれやすく、質問や相談がしづらい関係に陥りやすいです。そのため、自分から積極的にコミュニケーションをとり、事業部との信頼関係を築きましょう。
例えば事業部から相談を受ける際は嫌な顔をせずに、積極的に話を聞く姿勢を持つことが大切です。近年はチャットや会議ツールを使ったリモートでコミュニケーションを取ることも多いです。リモートでコミュニケーションをする際は「!」を活用して文章の重さを無くす様に心がけましょう。
また、会議ツールを用いてミーティングをする際は、画面越しでも相手の顔をしっかりと見て、話を聞くことも大切です。法務担当者から積極的にコミュニケーションを取ることで、法務部が事業部門の味方という印象を持たれやすくなります。
日常の業務の中でコミュニケーションを取るのが苦手な方は、事業部門のイベントに顔を出して顔見知りを増やすことや、社内イベントの幹事を務めることで、社内の多くの人に顔を知ってもらうという方法もあります。

2.自己成長の機会を自ら作る

一人法務を成功させるには自己成長の機会を積極的に作ることが大切です。企業の一人法務担当は、他の業務も並行しながら法務業務を続けていくことが多いため、知識やスキルを身につけられる機会が少ないです。そのため、自ら積極的に自己成長する機会を作る必要があります。

法務業務の中で自己成長の機会を作るには顧問弁護士を活用しましょう。企業の法務担当者は顧問弁護士に依頼や相談を行うケースも多いため、質問や依頼の内容に対して自分なりに予習を行ってから相談をすると、実務に伴うスキルを効果的に身につけられます。
実務以外の面で効果的に学びたい方にはオウンドメディアやSNSもおすすめです。リーガルテック企業が運営する法務に関するオウンドメディアでは、法改正やトレンドのフレッシュな情報が掲載されているため、日々の業務の合間に知識を得ることができます。また、弁護士が運用するSNSなどでは、話題のトピックについて質問することもできるため、日常的に目を通す習慣をつけていきましょう。
お勧めのオウンドメディアについては、こちらの記事でも紹介しています。

また、他の業務範囲を広げすぎないことも大切です。一人法務を成功に導くためには、事業部門からの信頼を獲得することも大切ですが、法務以外の業務範囲を広げすぎると、自己成長の時間が取れなくなります。
他部門に回すことができる業務については効率よくマニュアル化し、業務のバランスを整えることも大切です。
法務以外の業務は他部門からの信頼を獲得できるだけでなく、法務業務を進めていく上で大切な知識や経験も得られます。業務に余裕がある場合は積極的に進めていくことも自己成長のチャンスに繋がります。

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3.投資の必要性を適切に伝える

一人法務では投資の効果が担当者の能力に依存すると思われがちで、他部門に比べると投資の必要性が少ないと感じられてしまうことも多いです。確かに担当者が怪我や病気などで業務を離れることになれば、簡単に穴埋めすることができないため、投資に対してのリスクも高くなってしまいます。
また、投資を行うメリットが担当者にしかないとなると、他の案件を重要視する声が上がるのも当然です。そのため、上層部に投資を打診する際は今の業務が楽になるためだけでなく将来的に見たメリットがあることを伝えることが大切です。
法務だけでなく他部門にとってもメリットのある投資であることを具体例を交えて説明しましょう。

一人法務が留意する点

事業部門と良好な関係を築いたり、自己成長の機会を自ら作ったりと自ら行動すること以外に、一人法務が留意するべき点がいくつか存在します。ここでは、5つの点について解説します。

契約書の作成やレビューに関する体制

一人法務では契約書の作成やレビューの体制に注意する必要があります。契約書や利用規約は、企業と顧客や取引先との取引条件を決める大切な書面です。そのため、法務部が作成してから事業部でレビューを行い、大切な条件を整えることになります。
しかし、ベンチャー企業の一人法務では、事業部にまでレビューを周知しにくいため、レビューを忘れたままに書面の作成を進めてしまうことも多いです。一人法務では、事業部の担当者にチャットツールやメールでレビューを依頼するのではなく、企業全体にレビューを周知できるシステムを作ることが大切です。

社外に出す資料をレビューする体制

一人法務では社外に出す資料を作成する際もレビュー体制に注意してください。資料は会社のブランディングはもちろん、景品表示や著作権などにも注意しなければいけません。一人法務での資料のレビューでは、広報部と連携をとることで、これまで発行した資料との矛盾点が生じるリスクも軽減できます。
また、資料のレビューを社内で共有することで、法的なリスクを減らすだけでなく、会社に対する社会的批判のリスクを軽減することにも繋がります。

人事労務のトラブルを未然に防止する体制

人事労務は企業の規模に関わらずトラブルが発生しやすいです。そのため、体制を整えたとしてもすべてのトラブルを未然に防ぐことは難しいです。そこで、トラブルが発生する見込みのある事項を事前に定めておくことで、トラブルが起きた際も素早く法務部が介入できる体制を作りましょう。
また、人事労務部と連携し、人事評価の制度を整えることで、トラブルを未然に防止し、大きな問題になる前に解決に導くことができます。

情報の管理体制

ベンチャー企業やスタートアップ企業では社内の情報管理が整っておらず、社内のすべての情報に全社員がアクセスできるケースも多いです。これは社内情報を全社員で共有することで、素早い意思決定ができるメリットもあるため、情報管理に消極的な企業も多いです。
しかし、全社員がすべての社内情報にアクセスできることは、情報漏洩のリスクを高めることにもつながるため、会社を守るための体制作りが必要です。
一人法務では会社の規模に合わせて情報管理の体制を整えることが大切です。情報管理を進める際はセキュリティ担当の部門と連携し、それぞれの情報をカテゴリ分けし、アクセスできる権限を付与していきましょう。

会社法上問題のない意思決定体制

企業の成長スピードを上げるためには、迅速な意思決定が必要です。企業の方針やルールを決める際に会社法では、議決権を行使できる株主の過半数が出席し、出席株主がもつ議決権の総数に対して過半数の賛成を持って決議を行う。つまり、議決権のある複数の役員等を設置している企業では、意見が割れた場合に意思決定までに時間を要する可能性が生じるのです。
会社法上問題のない意思決定を行うには、社長が50%を超える株式を保有し、自身の意思決定を覆すことができない経営組織が望ましいといえます。

一人法務における体制化の優先順位

一人法務だからといって、自由気ままに仕事をするということではありません。他の部門・部署と同様に、タスクごとに優先順位を設けて、日々の業務を効率的に行う必要があります。さらに、法的リスクを最小限に抑える役割も担っているため、各分野の業務を俯瞰して見ながら、業務体制を整える組織の体制化を整えるのも法務の仕事といえるでしょう。

自らの業務を見直して一人法務を成功に導こう

「一人法務」と聞いて孤独なイメージを持つ人も多いと思います。しかし、一人法務だからこそ組織運営を円滑かつ迅速に成長させることもできるのです。
これから一人法務のキャリアを歩む方は、基本的な法務はもちろん、各部門との連携や積極的なコミュニケーションなど、法務以上の仕事を行うことが自身の成長に繋がるのではないでしょうか。

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