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PDFに捺印する電子印鑑の種類と法的効力の違いとは?電子印鑑の作成方法やリスクもご紹介!

ペーパーレス化やリモートワークの普及を受けて、電子印鑑を採用する企業も増加しています。しかし、「電子印鑑はどのように作成するのか」「法的効力はあるのか」という疑問を感じている方もおられるのではないでしょうか。
本記事では、無料のPDFで電子印鑑を作成する方法や利用するリスクについて解説します。また、PDFに捺印する電子印鑑の種類と法的効力の違いや電子印鑑のセキュリティ性を高める方法もご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

電子印鑑とは?

電子印鑑は、デジタル文書に対して手軽に押印を行える便利なツールです。従来の紙の印鑑と異なり、電子印鑑はデータとして保存されるため、物理的な紛失や損傷のリスクがありません。
また、PDFやExcelなどの電子ファイルに簡単に貼り付けができ、リモート環境でも利用可能です。このため、出社せずに効率的に契約書や申請書類の処理を進められます。
電子印鑑の導入により、業務のデジタル化がさらに進み、書類管理の負担軽減や作業スピードの向上が期待されています。

無料のPDFで電子印鑑を作成する方法

電子印鑑を利用する際は、Adobe Acrobat Readerの機能を活用して、簡単に作成や編集が可能です。手順は、以下のとおりです。

  1. Adobe Acrobat Readerを開く
  2. 「ツール」タブから「署名」セクションを選択する
  3. 「印鑑」または「署名」ボタンを押し、「デジタルIDを作成」を選択する
  4. 名前やメールアドレスなどの必要な情報を入力して、印影をアップロードする
  5. 印鑑を保存して使用する

また、作成済みの電子印鑑は、色やサイズの調整などのカスタマイズも可能です。編集方法は、以下のとおりです。

  1. PDF文書を開く
  2. 編集する印鑑を右クリックする
  3. 「プロパティ」メニューから、色やサイズの設定を変更する
  4. 変更を保存して、文書を閉じる

しかし、電子印鑑の信頼性や法的効力を維持するため、慎重に取り扱わなければなりません。このような機能を活用すれば、ペーパーレス化や業務効率化を推進できます。

PDF以外で電子印鑑を作成する方法

次は、PDF以外で電子印鑑を作成する方法について紹介します。

  • 押印した紙をスキャンする
  • Excel・Wordで電子印鑑の図を作成する
  • 電子印鑑のフリーソフトを利用する

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

押印した紙をスキャンする

押印した紙をスキャンする方法は、以下のとおりです。

  • 押印した紙をスキャンまたは撮影して画像データを取得する
  • スナップショットツールでコピーする
  • 画像編集ソフトやExcelに画像を挿入する
  • トリミングや背景透過などの加工をする
  • 電子文書に適したサイズに調整する

スキャンを用いると高品質なデータが得られますが、スマートフォン撮影は手軽で迅速に作業を進められる点がメリットです。この方法は特別なソフトウェアを必要とせず、既存の設備で対応できるため、コストを抑えつつ電子印鑑を作成したい方に適しています。

Excel・Wordで電子印鑑の図を作成する

パソコンのみで電子印鑑を作成したい場合、Microsoft ExcelやWordを利用して簡単に自作できます。手順は、以下のとおりです。

  • Microsoft Excelを開き、新しいシートを作成する
  • 「挿入」タブから「図形」を選び、印鑑の枠となる円や楕円を作成する
  • 「図形の書式設定」を使い、枠の色や線の太さを調整する
  • 「テキストボックス」を挿入して、名前や役職などの文字を追加して整える
  • 図形と文字をグループ化する

この方法は特別なツールを必要とせず、自由にカスタマイズ可能なため、費用を抑えながら迅速に電子印鑑を用意したい場合に適しています。

電子印鑑のフリーソフトを利用する

電子印鑑を作成する際には、無料のフリーソフトやアプリを活用するのがおすすめです。インターネット上には、多様なデザインや機能を備えたソフトが数多く提供されており、認印や日付印、角印など、さまざまな種類の印影を作成できます。
さらに、フォントの選択や背景透過機能など、細部の調整が可能なソフトもあり、デザインの自由度が高い点が特徴です。ソフトを選ぶ際は、自身の用途や好みに合ったものを選びつつ、対応する動作環境やファイル形式を事前に確認しましょう。

無料の電子印鑑を利用するリスク

次は、無料の電子印鑑を利用するリスクについて解説します。

  • 偽造される危険性がある
  • 文書の真正性を証明できない

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

偽造される危険性がある

無料で作成された電子印鑑は便利で手軽な反面、セキュリティ面でのリスクが伴います。同じテンプレートやツールを使用すると、意図せず同一の印影が作成される可能性があり、偽造の危険性が高いです。
また、画像化した印鑑は真正性の確認が難しく、悪意のある第三者による悪用やなりすましが容易にできます。これらの理由から、無料の電子印鑑は重要書類には不向きとされ、主に社内の回覧や軽微な用途に限定しましょう。
より信頼性を求める場合は、デジタル署名や電子証明書を活用したセキュリティに配慮されている電子印鑑の導入を検討しなければなりません。

文書の真正性を証明できない

無料の電子印鑑は手軽に利用できますが、セキュリティ面において多くの課題があります。印影を画像化しただけの電子印鑑では、押印した人物や日時を特定できず、不正利用や改ざんのリスクが生じます。
ビジネス文書や取引先とのやりとりで使用する場合、これらのリスクが顕在化する可能性が高いため、十分な注意が必要です。信頼性を確保するためには、識別情報やタイムスタンプが付与でき、電子署名法の要件を満たした電子印鑑の利用がおすすめです。
これにより、文書の改ざん防止や押印者の真正性を確保して、安全なやりとりが可能となります。

PDFに捺印する電子印鑑の種類と法的効力の違い

次は、PDFに捺印する電子印鑑の種類と法的効力の違いについて解説します。

  • 印影のみの場合
  • 識別情報が組み込まれている場合

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

印影のみの場合

電子印鑑は、実物の印鑑をデジタル化する方法や専用のソフトウェアを使用して作成する方法があります。これにより、個人の好みに合わせたデザインが可能で、簡単に利用できる便利さが魅力です。
しかし、電子印鑑は誰でも容易に作成・複製できるため、本人確認や真正性の証明には不向きです。印影だけを使用する形式では、セキュリティの面でリスクが伴います。
このため、重要な文書や契約の場面では、識別情報やタイムスタンプが付与された信頼性の高い電子署名の利用がおすすめです。

識別情報が組み込まれている場合

有料の電子印鑑サービスでは、印影に加えて識別情報やタイムスタンプが付与されるものが一般的です。これにより、印鑑を使用した人物や押印した日時が明確に記録され、改ざんや複製の防止が可能です。
また、タイムスタンプ機能は、押印時点での存在証明として有効であり、契約書や重要文書の信頼性を高めます。このような電子印鑑は、企業や法人が扱う電子文書でも高いセキュリティ性と信用性を発揮して、従来の印鑑と同等の役割を果たします。
コストはかかりますが、法的効力やセキュリティを重視する場面での導入がおすすめです。

電子印鑑のセキュリティ性を高める方法

次は、電子印鑑のセキュリティ性を高める方法について解説します。

  • 電子証明書を発行する
  • タイムスタンプを付与する

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

電子証明書を発行する

電子証明書は、認証局と呼ばれる信頼性の高い第三者機関が発行するもので、電子印鑑に識別情報やタイムスタンプを付与する役割です。これにより、使用者が本人であると証明でき、電子文書に法的効力を持たせられます。
電子証明書は、印鑑登録証明書と同様の役割を果たし、厳密な本人確認を経て発行されるため、偽造や不正利用のリスクが低減できる点が魅力です。この仕組みを利用すれば、セキュリティが強化され、電子文書の信頼性と安全性が大幅に向上できます。

タイムスタンプを付与する

タイムスタンプは、電子文書や電子印鑑に対して正確な日時情報を付与する技術であり、その時点での存在を証明する役割です。時刻認証局(TSA)が発行するタイムスタンプは、署名や押印が行われた日時を客観的に保証するため、法的な信頼性を高めます。
さらに、タイムスタンプの付与により、その時点以降に文書が改ざんされていないと示す証拠ともなります。この技術を活用すれば、電子文書のセキュリティや真正性を確保し、ビジネスや法的な場面で安心して利用可能です。

まとめ

本記事では、無料のPDFで電子印鑑を作成する方法や利用するリスク、PDFに捺印する電子印鑑の種類と法的効力の違い、電子印鑑のセキュリティ性を高める方法について解説しました。
電子印鑑は、デジタル文書に対して手軽に押印を行える便利なツールです。PDFやExcelなどの電子ファイルに簡単に貼り付けができ、リモート環境でも利用可能です。
また、無料で電子印鑑を作成する方法として、押印した紙をスキャンして画像化する方法やExcelやWordで図形を作成したり、フリーソフトを使用する方法があります。
しかし、無料の電子印鑑には偽造のリスクや文書の真正性を保証できないリスクがあります。さらに、PDFに捺印する際、印影だけを使用する形式では、セキュリティの面でのリスクも課題です。
このため、重要な文書や契約の場面では、識別情報やタイムスタンプが付与できる信頼性の高い電子署名の利用がおすすめです。

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この記事を書いた人

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