【法務DXツール 比較54選】を公開しました ダウンロード

DX推進と法務部門|進め方のポイントも解説

新型コロナウイルス等の影響から、DX化やDXの推進が企業の課題となっていることを報道等で耳にしたことのある方は多いのではないでしょうか。他方で、総務省の調査に対しDXへの取り組みについて、「実施していない」と回答した企業は全体の6割に上るという結果があります。こうした回答の背景には、DX化の推進や取り組みについて何か実施しなければならないという意識はあるものの、何から手を付けて良いのか分らない会社が多いということが考えられます。そこで、今回はDX推進の取り組みについて進め方やポイント等を解説します。

目次

DX推進とその目的

DX推進の取り組みについて解説する前に、そもそもDX推進とはどのようなものなのかや、その目的について解説します。

DX推進とは

DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略称です。デジタルトランスフォーメーションの定義については様々なものがありますが、経済産業省によると「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデ ルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義されています。
つまり、簡単にいうとDX推進とは、「デジタル技術の活用とそれに伴う業務・組織等の変革を推進すること」という意味になります。

DX推進の目的と背景

DXの推進を政府が行っている背景には、「2025年の崖」と呼ばれる問題があります。「2025年の崖」とは、既存の基幹システムやソフトウェアの老朽化等から、2025年を節目に多くの日本企業が直面するとされる問題のことをいいます。この「2025年の崖」を指摘する経済産業省の「DXレポート」では、こうした問題を克服し、日本企業が競争力を確保するためにはDXの推進が必要不可欠であり、仮に競争力の低下を招いた場合には、2025年以降、約12兆円もの経済損失が発生すると予測としています。こうした問題を回避するために政府はDX化の推進を図っているのです。

法務部門におけるDX推進のメリット

では、DX推進は法務部門においてはどのようなメリットがあるでしょうか。ここからはDX推進のメリットについて解説します。

業務効率化と工数の削減

法務部門におけるDX推進の一つとして、契約書レビューツールや契約書管理ツール等の導入が考えられます。こうしたツールは業務の効率化や工数の削減をもたらすことができます。
例えば、契約管理ツールであれば契約書の期限や更新時期が訪れた際には通知する機能を持っているものがあります。紙の契約書をエクセルなどで管理していた場合には、更新時期の確認やエクセルシートの管理といった工数が発生することになりますが、こうした工数の削減が可能となります。工数を削減することにより、法律相談業務や契約書の起案などのコア業務や重要な業務への集中が可能となります。

BCP対策の充実

BCPとは事業継続計画のことを意味します。天災などにより企業の事業活動が中断した場合の事業を継続するための計画やプランがこれに含まれます。法務部門の場合、業務の専門性の強さから担当者毎に案件を管理しており、共有が徹底されていないケースが散見されます。この様な場合、仮に担当者が天災などの影響から業務ができなくなってしまうと、案件の引き継ぎや対応が困難となってしまいます。こうした事態を防ぐためには、法務に来る依頼を一元管理する案件管理ツールの導入を検討すると良いでしょう。案件管理ツールにより、担当者が業務を行う事が困難となった際にも、スムーズに引き継ぎをすることが可能になります。このようにDXの推進はBCP対策の充実を図る上でも重要な意味を持ちます。

2025年の崖への対応

前述の通りDX推進の背景には「2025年の崖」の問題があります。この「2025年の崖」を指摘する経済産業省は、既存システムのレガシー化やブラックボックス化を指摘しています。こうした「2025年の崖」の問題に対応するためには、既存システムの改修や、場合によっては入れ替えを検討する必要もあります。リーガルテックの導入はこうした既存システムの入れ替えや変更を検討する際に非常に有用な選択肢の一つといえるでしょう。

業務の属人化の防止

BCP対策のところでも触れましたが、法務の業務は担当者のみがその案件の内容について把握しており、部門内での共有が図られていないケースが多く見られます。こうした業務の進め方は、やがて特定の業務についてはその担当者しか分らないという業務の属人化を招く可能性があります。こうした業務の属人化を防ぎ、部門内でのナレッジ共有や、スキルの平準化に役立つのが契約書管理ツールです。契約書管理ツールの中には、新しい契約書を作成する際に、過去に作成した契約書を参照する機能を持つものがあります。こうした機能は、作成する契約書の品質のバラツキやノウハウの偏りを防ぎ、業務の属人化を防止することに役立ちます。

関連リンク
【費用対効果が高い契約書管理ツールとは】無料プレゼント

DX推進を始める上でのポイント

このように様々なメリットのあるDX化ですが、DX推進を行うにあたってはいくつかポイントがあります。そこで、DX推進を始めるにあたってのポイントを解説します。

明確な目的や戦略の設定

DX推進を行う上でまず最初に行うべきなのは、DX化によってどういった効果を得たいのか、自部門の課題を明確にし目的や戦略を設定することです。この目的設定のためには現状の部門の問題を分析し、どういった業務上の課題を解決する必要があるのかを検討をするところから始めると良いでしょう。

DX人材の確保・育成

DXの推進にあたってはそれを支える人材が必要不可欠です。しかし、現実問題としてDX化を担うことのできる人材の確保は非常に困難なのが実情です。また、法務部門の場合、法務的な素養とDXに関する知識の両方を備えた人材が理想となりますが、こうした人材は非常に希少価値が高い人材といえるでしょう。そのため、DX人材は自社の中で育成するのが現実的な選択肢の一つとなります。法務部門内でITなどに長けた人材がいる場合には、そういった人材を育成することが重要となるでしょう。

既存のシステムの問題点・課題の検討

「2025年の崖」でも指摘されるとおり、DX推進の背景には既存システムの老朽化によるレガシー化やブラックボックス化が問題として存在します。そのため、DXの推進を行うにあたっては既存のシステムの問題点や課題を検討し、レガシー化やブラックボックス化をしている箇所がないか点検を行う必要があります。既存のシステムが、複数回の改修などを経てブラックボックス化している場合や、老朽化しておりレガシー化してしまっている場合には、システムの入れ替えを検討する必要が出てきます。そのため、どの範囲でシステムの入れ替えを行うかなどの検討も行う必要が生じる点は押えておきましょう。

まとめ

業務の効率化や属人化の防止が求められる法務部門において、DXの推進は「2025年の崖」を別に考えたとしても非常に重要な課題です。DXの推進を行うに当たっては本記事を参考に、まずは、目的の設定や戦略の検討を行い、DX化によって自部門のどのような課題を解決するべきなのかという点から始めると良いでしょう。

  • URLをコピーしました!
目次