法務の課題と課題解決のために導入すべきツールとは?
電子契約サービスやAIによるリーガルチェックツール等、リーガルテックには様々な機能を持った製品があります。しかし、これらがどのような課題を解決するために有用なのか分らないという方や気になる方も少なくないでしょう。
そこで、本記事では法務が直面する課題と課題解決のために導入すべきツールについて解説します。
属人化の防止とナレッジ共有のための案件管理システム
法務部門には様々な相談や案件が日々寄せられ、それを法的な観点から処理・解決していくことが求められます。ここではこうした案件処理に当たって法務が抱える課題と案件管理システムが解決する課題について解説します。
法務部門が抱える課題
前述の通り、法務部門には経営層や事業部門等を中心に法律相談など様々な案件が寄せられます。こうした案件を法務が処理・対応するに当たっては以下の様な課題を法務が抱えがちです。
①情報の偏在化
法務が案件を処理するに当たっては単に法的な知識があれば良いという訳では無く、会社の置かれている状況や経営の方向性など社内の情報や取引相手に関する情報など様々な情報が必要となります。
こうした情報は案件を担当した担当者の知識やノウハウとなっていきますが、特定の担当者に業務が集中してしまった場合、その担当者と他の担当者との間で情報の偏在化が起こってしまい、その担当者しか知らない情報が増えていくことになります。
その結果、担当者によって対応品質にバラつきがあったり、場合によっては類似の案件なのに担当者によって回答が異なるといった事態に陥ってしまう可能性があります。
②業務の属人化
前述の情報の偏在とも関連しますが、法務が案件処理を行うに当たっては様々な情報が必要となります。そのため、経験を積んでノウハウや情報を有する法務部員のもとへ案件は集中しがちです。
その結果、ノウハウや情報が集中した担当者のみしか案件を処理することができず、業務の属人化につながってしまう状態がおこりがちです。
案件管理システムとナレッジの共有による課題解決
では、こうした課題に対して案件管理システムはどのような解決が可能でしょうか。
前述した情報の偏在化と業務の属人化はいずれもその案件について特定の担当者のみしか知らない情報が増えていき、その結果として起こってしまった事態と言えます。
案件管理システムは案件毎の情報が蓄積・共有されるシステムとなっており、法務に寄せられた案件についてどのような案件で法務がどういった回答をしたのかといった情報が案件毎に管理可能です。
そのため、これまで担当者個人にのみ蓄積されていたノウハウや情報を法務部内や関係者でナレッジの共有が可能となります。その結果、案件について情報の偏在化や業務の属人化といった課題を解決することが可能となります。
豊富な法的知識へのアクセスを可能にするリーガルナレッジシステム
法務が法律相談や契約書審査等の業務を行うに当たっては法的な知識や情報が必要不可欠です。ここでは、法務に必要不可欠な法的知識や情報へのアクセスを可能とするリーガルナレッジシステムとそれが解決する課題について解説します。
法務部門が抱える課題
①部員毎の法的知識の格差
当然のことですが、法務部員と一口に言っても個々人のレベルでは知識やスキルにはどうしても差があります。そのため、安定した対応品質を確保するためにも法務が保有する書籍や判例検索システムなど様々な情報源へアクセスが可能となっていることは非常に重要な意味を持ちます。しかし、法律専門書は膨大な数がありそれらを豊富にそろえることは予算や場所の制約上困難です。
②働き方改革と情報のアクセス
新型コロナウィルスの流行の影響や働き方改革の推進によりリモートワークといった働き方が定着しつつあります。こうした働き方を進める中では、場所を問わずに豊富な法的知識や情報源にアクセスが可能となっている状態である事が求められます。しかし、法律専門書など紙媒体の本はオフィスに出社していなければ読むことができないため、アクセス場所が限定されてしまうといった制限があります。
リーガルナレッジシステムと課題解決
こうした課題を解決可能なのが豊富な法律専門書にオンライン上でアクセスできるリーガルナレッジシステムです。リーガルナレッジシステムの多くは月額の利用料を支払う事でシステムに掲載された豊富な法律専門書等を閲覧が可能となります。そのため、予算や場所の制約から取りそろえるのが困難だった専門書へもアクセスが可能となります。
また、オンラインで利用可能なため、場所の制約も無く、リモートワークといった働き方にも対応が可能となります。
契約書審査のサポートやスキルの平準化に役立つAIチェックツール
契約書審査や作成の業務に当たっては法的知識や過去の経験といったノウハウが必要となります。ここでは、契約書審査のサポートやスキルの平準化に役立つAIチェックツールについて解説します。
法務部門が抱える課題
①スキルの平準化
契約書審査や作成業務に当たっては前述の通り、法的知識や過去の経験に由来するノウハウが重要となります。しかし、こうした情報は担当者のノウハウとしては蓄積されるものの、その他の担当者や部員と共有するのは困難であり、法務業務をマネジメントする側にとってはスキルの平準化が課題となりがちです。
②知識・ノウハウの偏在化
契約書作成の際に実際の契約書に自社にとって有利な条項や避けたいリスクを盛り込むためには契約書にどのように書くかといったノウハウが必要になります。しかし、こうしたノウハウは教育が難しく、その結果知識・ノウハウの偏在や業務の属人化につながりがちです。
AIチェックツールと課題解決
こうしたスキルの平準化に役立つのがAIチェックツールです。AIチェックツールは契約書の抜け漏れや自社に不利な条項について指摘することで契約書審査や作成業務のサポートを図ることができます。こうしたAIによるチェックを介することで、対応品質を安定させ契約書審査業務におけるスキルの平準化を図り、業務の属人化を解決することが可能となります。
契約書管理の工数削減と契約書管理ツール
契約書は作成して締結すれば終わりという訳ではありません。締結した契約書は関係者が確認・参照が可能となるように適切に管理する必要があります。ここでは契約書管理の工数削減や適切な契約書が締結された状態を維持するために有用な契約書管理ツールと解決できる課題について解説します。
法務部門が抱える課題
①契約書管理にかかる工数
契約書管理は単に締結した契約書を保管しておけば終わりという訳ではありません。多くの契約書には有効期間があり、契約書の更新が必要なケースは少なくありません。こうした契約書の期限管理は、管理する契約数が少なければ大きな負担とはなりませんが、会社が事業を行うために締結する契約書の数は膨大であり、それらを全て有効な状態に保とうとした場合には管理に膨大な工数がかかってしまいます。
②ヒューマンエラーの可能性
契約書の有効期限管理を人力でやろうとした場合、人の目で契約書の有効期限などを確認することになるためどうしても見落としなどのリスクがつきまとうことになります。
契約書管理ツールと課題解決
これらの課題を解決するのに役立つのが契約書管理ツールです。契約書管理ツールには契約書の有効期限が近づくとアラートなどによって知らせる機能を有しているものがあり、契約書管理に要していた工数の大幅な削減やヒューマンエラーによる見落としのリスクを大幅に下げることが可能です。
また、契約書をデータベース化することができるため、必要な人がスムーズに契約書の情報にアクセスできるようになるといったメリットもあります。
まとめ
法務の業務には様々な課題がありますが、これらはリーガルテックの導入によって解決可能なものが少なくありません。自社が抱える課題を適切に抽出し、本記事を参考に課題解決に役立つリーガルテックの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
リーガレッジはワンクリックで契約書をデータベース化できるほか、契約書のアラート機能などにより契約書管理に割いていた工数の大幅な削減が可能となっています。是非ご検討ください。