【社内の法務リテラシーを向上させるには? 法務部の仕事内容と課題、研修方法など具体策をご紹介】を公開しました ダウンロード

法務研修に期待される役割は?おすすめの内容も紹介

法務の業務として様々な企業で行われているものに、他部門に向けて業務に関連する法的な内容を発信する法務研修があります。しかし、実際に依頼されてみると何をやれば良いのか分らないという方や、他社ではどういった内容が行われているのか気になるという方も少なくないのではないでしょうか。そこで、本記事では法務研修に期待される役割やおすすめの内容についてご紹介します。

目次

法務研修の必要性と期待される役割

法務研修の内容について考えるにあたっては、法務研修がなぜ必要なのかやどういった役割が期待されているのかについて整理しておく必要があります。そこで、まずは法務研修の必要性や法務研修に期待される役割について解説します。

法務研修の必要性

法務研修では、法務部門が有している法的な知識や情報を発信し、他部門に向けて改めて法令遵守を促す事になります。こうした法務研修は役員や従業員の法令違反を未然に防ぎ、行政機関からの処分などを受けないように、コンプライアンス体制作りの上で非常に重要な意味を持ちます。
また、実際に法令違反や不祥事などが起こり、会社や役員の過失責任が問われた場合に、定期的にこうした法務研修を行い法令遵守体制を作っていたという事実により、過失を否定する方向へ働くケースもあります。
このように、法務研修は事前に法令違反を防ぐだけでなく、実際に不祥事が起きた場合にも意味を持つため、コンプライアンス体制が強く求められる昨今においては必要性の高い業務の一つであるといえます。

法務研修に期待される役割

こうした法務研修の必要性から、法務研修には予防法務としての機能が強く求められているといえるでしょう。つまり、法務研修を通じて社内へ法的な知識や情報を発信することを通じて、会社の成長や発展、事業活動を阻害するような法令違反行為を未然に防ぐ役割を果たすことが期待されています。

法務研修で取り扱う法分野

では、法務研修では具体的にどういった法分野を取り扱うのが良いでしょうか。ここからはおすすめの分野についてご紹介します。

  • 民法・商法

主に営業部門などの契約締結に関わる事業部門を対象にする際におすすめの分野です。民法や商法のうち契約に関する分野を重点的に行うことで契約に関するリスクについて学ぶことができるほか、自社の契約書のひな形についても理解を深めることが可能となります。

  • 不正競争防止法

昨今、転職を機に前職の会社の情報など営業秘密の持ち出しの事例が多く報じられています。不正競争防止法ではこうした営業秘密の保護がされており、こうした営業秘密に関する不正競争防止法の教育は、従業員の法令違反を防ぐだけでなく自社の情報を保護するためにも役立ちます。

  • 個人情報保護法

個人情報保護法では、個人情報を取り扱う事業者の義務が定められており、人事部門など従業員の個人情報を取り扱う部門をはじめ、様々な部門で知っておくべき規制が多く見られます。特に昨今では、個人情報の取り扱いについて社会から非常に厳しい目が向けられているため、法令遵守を徹底するという意味でも取り扱うべき分野といえるでしょう。

  • 下請法・フリーランス保護新法

下請法では発注側である親事業者の禁止行為などが定められており、会社の資本金額や業種によっては適用が避けられないケースのある法令です。特に下請取引に当たって書面交付義務などが定められており、実務にも大きく影響する法令となるため、発注を行う購買部門等は下請法についてマスターしておく必要性が非常に高いといえます。
また、下請法と同様の規制をする法令としてフリーランス保護新法があります。こちらは施行日は未定となっていますが、既に国会で成立していることから、フリーランスへ仕事を発注する機会の多い会社であれば同様にマスターしておく必要性が高いといえるでしょう。

  • 金融商品取引法(インサイダー取引)

自社が上場企業の場合に役職員に遵守が強く求められるのがインサイダー取引規制に関する金融商品取引法の定めです。
インサイダー取引とは、上場会社の関係者等が、その立場上知り得た、重要な未公表の会社情報を利用して、自社株等を売買する行為を指します。インサイダー取引は行われると課徴金や懲役等が科されることになりますが、それ以上に自社が持っている情報を従業員等が投資に流用したという点から企業の信用問題にも関わります。そのため、上場企業の場合には非常に優先度の高い法分野といえるでしょう。

  • コンプライアンス

コンプライアンスに関する研修、いわゆるコンプライアンス研修も法務研修で期待される内容の一つです。昨今ではコンプライアンスは法令遵守という意味だけでなく、企業が社会から期待される役割や企業倫理を遵守するという意味も含まれています。そのため、コンプライアンス研修を行う場合には、前述したような法令に加えて企業倫理なども内容とする必要がある点には留意しましょう。

  • ハラスメント

パワハラやセクハラといったハラスメントを予防するためのハラスメント研修も非常に重要です。特に昨今ではセクハラやパワハラには社会から非常に厳しい目が向けられていることから、ハラスメント研修を通じた予防は非常に重要です。なお、ハラスメントに関する研修は前述のコンプライアンス研修の一環としてなされるケースも少なくありません。

  • リスクマネジメント

企業を取り巻くリスクは法的なリスクだけではありません。財務リスクや天災リスク、レピュテーションリスクなど様々なものがあります。こうしたリスクの洗い出しから分析・対策といった対応を行うのがリスクマネジメントです。
リスクマネジメントの主管部門が法務である場合には、こうしたリスクマネジメントに関する研修も行う場合があります。

法務研修の法務担当者のメリット

法務研修は法務が持つ知識や情報、ノウハウを社内で共有でき、コンプライアンス体制作りや違法行為を未然に防ぐ上で重要な役割を果たします。では、他方でこれを実際に担当する法務担当者にとってはどういったメリットがあるでしょうか。

プレゼンスキルの向上

法務担当者は普段の業務では法律相談業務などで他部門とコミュニケーションをとる機会はあるものの、大勢を相手に自身の伝えたいことを話すという機会はあまりありません。そのため、こうした法務研修を通じてプレゼンスキルの向上を図ることができるという点は、担当者にとって大きなメリットといえるでしょう。

社内での認知度の向上

法務の任務の一つに事前に法令違反を防ぎ、会社の法的リスクを軽減する予防法務があります。こうした予防法務のためには、何かあった際に事前に法務へ相談を行うという流れがあることが極めて重要な意味を持ちます。しかし、社内で法務にどういった人間がいるのか、法律相談ができるような十分な知識を有しているのかといった点が認知されていない状態では、なかなか法務へ相談を持ち込むというのは難しいものがあります。
そこで、法務にどういった人間がいて、どういった専門知識を有しているのかという点について法務研修を通じてアピールすることは非常に有益といえるでしょう。

リーガレッジでは、締結までの契約書レビューのやり取りや、更新時の留意点等、契約書にまつわる社内のナレッジを蓄積することができます。
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自社内の法務新人教育に活用された事例も多くあります。
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