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契約書の別紙とは?使うべき場面や注意点について解説

契約書を作成する際、例えば業務の具体的な内容を記載すべき必要はあるが、契約書に記載すると内容が極端にその部分だけ長くなったり、体裁が整わなくなってしまいます。このような場合には契約書別紙に業務の具体的内容等を記載する方が契約書自体が読みやすくなり、内容が整理されて見えます。しかし、別紙はどのような場合に利用して、どのような内容を記載すれば良いのか分らないという方も少なくないでしょう。そこで、本記事では契約書の別紙について使うべき場面や注意点等について解説します。

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目次

契約書別紙とは?主に別紙を用いる場面

契約書別紙とはそもそもどのようなものなのでしょうか。また、主にどういった場面で使用されるのでしょうか。ここでは契約書別紙についてと主に別紙を用いる場面について解説します。

契約書別紙とは

契約書別紙とは、契約書の内容を補足し、詳細化するために追加で作成される文書のことをいいます。別紙という言葉の通り契約書とは別に作成されますが、別紙に記載された内容は契約書本体と一体となって契約書の一部を構成します。別紙は契約書に記載しづらい取引の内容の詳細を記載したり、追加の情報を提供することを目的として作成されます。

業務内容等の詳細な内容を記載する場合

業務委託契約書などで委託業務の詳細を記載する事がありますが、契約書の条項に記載するよりも別紙に記載する方が内容がまとまって見えるため読みやすくなるケースが少なくありません。この他にも共同研究契約での当事者の役割分担など実務的な詳細を記載するケースもあります。

図面等の添付が必要な場合

製品開発契約等では完成品や技術的な詳細を示すために図面等を別紙として添付する場合は少なくありません。図面の添付により契約書の読みやすさを保ちつつ、技術的な詳細を示すことができるというメリットがあります。

リスト化した書式を添付する場合

売買契約で複数の目的物を売買の対象とする場合や、賃貸借契約において賃貸物件の設備を一覧化したものを契約書に記載したい場合にはリスト化して、そのリストを別紙として添付する方法が考えられます。

契約書別紙に記載すべき内容

では契約書別紙にはどのような内容を記載すべきでしょうか。ここでは契約書別紙に記載すべき内容について解説します。

タイトル

別紙は契約書とは異なり技術的な詳細や当事者の役割分担など比較的実務的な内容が記載されるため、契約書の記載内容と性質を異にします。
そのため、別紙の内容が何か一目で分かるようにタイトルを記載する必要があります。「別紙1:当事者の役割」や「別紙2:図面」などのような記載が例としてあげられます。

具体的な内容

別紙が示す内容を記載します。リストや図面、図表といった形式で示されるのが一般的です。具体的な内容の記載例としては以下が考えられます。

①別紙1:目的物

売買の目的物をリスト化するようなケースです。

品名(型番)価格数量
○○ー○○○○1,000,000円50
○○ー○○○○500,000円100

といったように売買契約の対象となる目的物を型番などで特定し、価格や数量を記載します。

②別紙1:業務内容

業務委託契約などで業務の具体的な内容を別紙に記載するようなケースです。

・記載例
 ①乙によるドメインの取得
 ②乙によるホームページの作成
 ③その他これに付随する業務
といったように委託する業務の内容を記載します。

署名と日付

別紙も契約書の一部のため、署名や日付を記載しておき、契約書の一部である事を明確にすることが一般的です。

別紙作成の際の注意点やよくある疑問点

別紙作成をする際にはどのような点に注意すべきでしょうか。ここでは別紙作成の際の注意点やよくある疑問点について解説します。

別紙の別紙は作成可能?

別紙の内容が複雑で情報量が多い場合、別紙のさらに別紙を作成したいと考えるケースもあるかもしれません。結論から言うと別紙の別紙を作成する事自体は法的な問題は特にありません。しかし、別紙の別紙を作成する事でかえって内容が分りにくくなったり、複雑になりすぎることで事後的に契約内容や解約について争いが生じてしまうリスクを高めてしまう可能性があります。
そのため、別紙の別紙を作成したいと思う場合には別紙1、別紙2と分けることができないのかや、もう少しシンプルに内容ができないのかといった点について考えてみるのが良いでしょう。

追加や差し替えが発生した場合の手続きは?

別紙の内容を変更するために追加や差し替えが発生した場合には以下の様な手続きを踏むのが一般的です。

①新たな別紙の作成

まずは内容を変更した新たな別紙を作成するのが一般的です。新たな別紙を作成し、元の別紙を補完する形にするか、新たな別紙を作成し差し替えるか二通りが考えられますが、内容の明確性の観点からは差し替える方が無難と言えるでしょう。

②新たな別紙への合意

新しい別紙ができたら、当事者全員が内容を確認し、署名または押印を行います。これによって当事者が新たな別紙の内容について合意したことになります。

③契約書への押印

別紙のみに押印して各自が契約書とともに保管しておくという方法もありますが、新たな別紙を添付した契約書を作成し、そこに記名押印をするという方法も考えられます。この場合には全ての当事者の記名押印が必要となるので注意しておきましょう。

④別紙のみの差し替えの場合には記録を保存しておく

新たな別紙のみを作成し、それを当事者が保管しておく場合には全ての当事者が新たな別紙を保管しておくだけで無く、別紙が差し替えになった事実を記録として保存しておくようにし、別紙がどれだったか分らなくならない様にしておきましょう。

別添や付属書とは意味が異なる

別紙と似たような言葉として別添や付属書があります。別紙は契約書の主要な部分を補足し、詳細化するために用いられる文書のことを指すのが一般的です。前述のような業務委託契約における業務内容の明確化に用いられたり、売買契約における目的物のリストなどのように契約内容をより詳細に示すことを目的として作成されます。
これに対して別添は別紙よりも独立した文書を指す場合のことが多いです。例えば、事業計画書や財務諸表等が添付される場合には別紙と呼ばれるよりも別添とされるケースのことが多い様に思われます。
付属書は契約書の主要な項目以外の項目について詳細に説明するために作成されるのが一般的です。例えば秘密保持や反社会的勢力排除に関する条項についてより詳細に記載するために作成されるケースがあります。

まとめ

契約書別紙は適切に作成・使用することで契約の内容をより詳細に契約書に反映させることができるというメリットがあります。その反面、適切に別紙を作成しないとかえって契約内容を複雑化させてしまったりするおそれもあります。
本記事を参考に適切に別紙を作成し、契約内容を当事者間で明確にしておきましょう。

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この記事を書いた人

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