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契約書で意味を間違いやすい用語とは?条番号や接続詞、期間表現の意味をわかりやすく解説!

契約書には特有の用語が使われるケースが多く、意味合いがわかりにくいものや、間違えやすいものが多く存在します。契約書の作成やレビューのために、よく使われる契約書の用語について正しい知識を身につけておきましょう。
本記事では、契約書で使われる頻度の高い用語の意味を解説します。条番号や接続詞など、意味を混同しやすい用語の使い分け方について解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

条番号(条・頂・号)に関する契約書用語

まずは、条番号(条・頂・号)に関する契約書用語について解説します。

  • 前条・本条・次条(項・号)
  • 前○条(前○項・前○号)

それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

前条・本条・次条(項・号)

「前条」「本条」「次条」は、契約書などの法的文書で特定の条項を指し示すために用いられる用語で、それぞれ以下の意味を有します。
前条(前項・前号)は1つ前の条(項・号)を指し、たとえば「前条の場合、甲は乙に対して……するものとする」という使い方が基本です。
また、本条(本項・本号)は文中で言及しているその条(項・号)自体を指し、「本条に基づく売買代金の支払につき、振込手数料は乙の負担とする」といった形式で使用されます。
さらに、次条(次項・次号)は1つ後の条(項・号)を指し、「甲乙間の損害賠償については、次条の規定に従う」という形式で用いられるのが一般的です。
なお、2つ以上前または2つ以上後の条を引用する場合は、「第○条」と条番号を記載して明確にします。

前○条(前○項・前○号)

「前○条」(前○項・前○号)という用語は、ある条文における「その条(項・号)の前の○つの条(項・号)全て」を指します。この表記は、引用したい内容が連続して複数の条(項・号)にまたがる場合に用いられます。
たとえば、第10条が「前3条の規定に従う」と記述してある場合、これは第7条、第8条、第9条の規定に従うという意味です。このように、「前○条」(前○項・前○号)は、法令などの文脈で先行する複数の条文を参照する際に便利な表現方法です。

契約書に用いられる接続詞

次に、契約書に用いられる接続詞を紹介します。

  • 並びに・及び
  • かつ
  • 又は・若しくは

それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

並びに・及び

「並びに」と「及び」は、いずれも「and」に相当する接続詞で、複数の単語や項目を列挙する際に使用されます。基本的に「及び」は単一のグループ内での列挙に用いられ、例として「リンゴ及びバナナ」や「リンゴ、バナナ及びイチゴ」などが挙げられます。
一方、複数の異なるカテゴリや階層的な要素を接続する場合は「並びに」が使われるのが一般的です。この用法では、大きなカテゴリを「並びに」で、そのなかの小さなグループを「及び」でつなげます。
たとえば、「リンゴ及びバナナ並びに白菜」や「リンゴ、バナナ及びイチゴ並びに白菜」といった表現です。このように、これらの接続詞は、列挙する要素の関連性や階層に応じて使い分ける必要があります。

かつ

「かつ」という接続詞は、英語の「and」に相当し、条件を満たす場合に使用されます。この用語は「及び」「並びに」と同じく接続的な役割を果たしますが、接続される要素が密接不可分である場合や、条件を明確に示す際に用いられるケースが多いです。
ただし、接続が多層的になる場合は、文の構造を明確にするために「及び」「並びに」を使用する方が適切です。

又は・若しくは

「又は」と「若しくは」は、いずれも選択肢を示す際に用いられる接続詞で、英語の「or」に相当します。一般的には単純なリストアップに「又は」を用い、たとえば「リンゴ又はバナナ」といった使い方が一般的です。
しかし、選択肢が階層的になる場合、つまりカテゴリが2つ以上存在する場合は、使い分けが必要です。大きなカテゴリ(例:果物と魚介)で接続する際には「又は」を用い、小さなカテゴリ内(例:リンゴ、バナナ)での接続には「若しくは」を使います。

期間や数量に関する契約書用語

次に、期間や数量に関する契約書用語を紹介します。

  • 以下・以上・未満・超える
  • から(より)起算して
  • 直ちに・速やかに・遅滞なく

それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

以下・以上・未満・超える

「以上」「以下」については、基準となる数値を含む場合に使用します。たとえば、「1万円以上」といえば、1万円ちょうどを含むことになります。
一方で、「超える」「未満」は、基準となる数値を含まない場合に使用し、「1万円を超える」といった場合には、1万円ちょうどを含まず、1万1円以上を意味しているわけです。
これらの用語は、とくにボーダーライン上の数値の取扱いにおいて重要であり、誤解を避けるためにも正確な理解が欠かせません。

から(より)起算して

「…から(より)起算して」という表現は、「その日から数えて」という意味で、具体的には「その日」を含んで期間を計算します。これとは対照的に、「…から○日」と単純に記述した場合は、民法第140条に従い初日を含まないようにしなければなりません。
また、「より」という言葉は比較を表す際にも用いられる場合があります。たとえば、契約締結日が2023年8月1日であった場合、この表現を用いると「2023年10月31日までに」と解釈され、契約締結日を含めて3カ月以内という期間が設定されます。

直ちに・速やかに・遅滞なく

「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」は、いずれも当事者に迅速な行動を義務付けるものですが、それぞれの緊急性の程度が異なります。具体的に、「直ちに」は一切の間を置かず、即時に、「速やかに」はできるだけ早く、「遅滞なく」は事情が許す限り最も早く行動するという意味です。
そのため、速さを示す順番では「直ちに > 速やかに > 遅滞なく」となります。ただし、これらの表現は「○日以内」といった具体的な時間を示すものではありません。契約書などの文書では、必要に応じて「3営業日以内」といったより明確な期限を設定する必要があります。

損害賠償を定める契約書などで使用される用語

次に、損害賠償を定める契約書などで使用される用語を紹介します。

  • 善意・悪意
  • 軽過失・重過失

それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

善意・悪意

日常用語で「善意」と「悪意」は道徳的な良し悪しを表しますが、法律用語ではこれらの言葉は全く異なる意味を持ちます。「善意」とは、特定の事情を知らない状態を指し、「悪意」とはその事情を知っている状態を表します。
従って、法的文脈でのこれらの用語の使用には注意が必要であり、日常的な道徳的な意味合いとは無関係である点を理解しなければなりません。

軽過失・重過失

軽過失とは、「注意義務違反」を意味します。この過失は、予見可能性(良くない結果が起こるのを予測できたか)と回避可能性(その結果を回避できたか)を基準に判断されます。
一方で、重大な過失とは、容易に危険を予測し回避できたにもかかわらず、顕著な注意欠如の状態で、それを怠った場合を指す用語です。たとえば、飲酒運転で事故を起こすなど、ほとんど故意に近い場合が重過失に該当します。

意味を間違いやすい契約書用語

次に、意味を間違いやすい契約書用語について紹介します。

  • みなす・推定する
  • その他・その他の
  • 解除・解約

それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

みなす・推定する

「みなす」と「推定する」という表現には、根本的な違いがあります。「推定する」の場合、反証が可能であり、新たな証拠に基づいて結論が覆ることが認められます。
一方で、「みなす」という場合、反証を許さず、事実とは無関係にその決定が維持されてしまうのです。このように、推定は仮定に基づいており変更可能であるのに対し、みなすは固定的な決定を示します。

その他・その他の

「その他」と「その他の」は、法令用語として厳密に使い分けられています。「その他」は、前後が並列関係にある場合に使用する用語です。
一方で、「その他の」の前に出てくる言葉は、後に出てくる言葉のいっそう意味内容の広い言葉の一部をなすものとして、その例示的な役割を果たす趣旨で使われます。

解除・解約

「解除」と「解約」は契約関連の用語であり、法令上の意味と日常用語での使用が一致しない場合があります。法的に、「解除」はすでに成立している契約を初めからなかったことにする意味を指し、原状回復義務と損害賠償義務が発生します。
一方で、「解約」は契約の効力を将来に向かって消滅させる内容を意味し、相互の合意により契約を終了させるケースが含まれますが、原状回復義務は発生しません。
たとえば、賃貸契約のような継続的な契約においては、契約当事者の一方が将来に向けて契約を終了させる意思表示することが「解約」とされます。

 

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まとめ

本記事では、契約書で使われる頻度の高い用語の意味を解説しました。
契約書には、意味合いがわかりにくい用語や、間違えやすい用語が多く存在します。契約書を正しく作成するためには、よく使われる契約書の用語について正しい知識を身につけておかなければなりません。
ぜひ、この記事で紹介した用語の意味を理解し、正しい使用方法を身につけてください。

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