海外企業との電子契約の注意点は?メリットについても解説
日本では契約書には記名押印が行われる形で契約が締結されるのが一般的です。これに対してハンコ文化の無い海外企業との契約ではサインによって契約が締結されます。昨今ではこうしたサインは電子署名によってなされるケースが少なくありません。そこで、本記事では海外企業との契約を電子契約で行う場合の注意点やメリットについて解説します。
海外企業と電子契約を締結する際の注意点
海外企業とは電子署名等の方法によって契約を締結する機会が少なくありません。しかし、日本国内の企業と電子契約をする場合と同じように考えていると、思わぬ落とし穴に落ちてしまうこともあります。
そこで、海外企業と電子契約を締結する際の注意点について解説します。
相手方の国の商慣習や文化を理解する
国が異なれば文化が違うため、商慣習やビジネス上の常識、契約書に対する考え方も国によって大きく異なります。
例えば一般的な英文契約では言語による影響を考慮しても日本のものよりもかなり詳細に契約の内容や一般的な事柄を定める傾向にあります。これは日本であれば当事者間での協議などによって柔軟な解決が嗜好されるのに対し、英文の契約書を用いる英米法では契約書内に記載の無い事項は定めていないのと同じであるという考え方をする事に由来します。
このように契約書に対する考え方1つをとっても国が違えば大きく違います。こうした相手方の国の商慣習や文化を理解しておくことは契約を結ぶ上で非常に重要です。
法律が違うことを理解しておく
当然ですが、国が違えば適用される法律も異なります。またその法律も文化が違うために日本では考えられないような内容が法律として定められているケースも少なくありません。
このことは、電子署名に関する法律についても同じ事が言えます。そのため、準拠法を相手方の国の法律にする場合には慎重に相手方の国の法律の特徴についてリサーチをしておき、場合によっては現地法に通じた弁護士を確保しておくといった準備も重要となるでしょう。
電子契約サービスが多言語に対応しているか
相手方の国の言語に電子契約サービスが対応しているかというのも重要な確認すべきポイントです。
特に外国との電子契約が多い場合には英語の契約書に対応した電子契約サービスを導入する方がスムーズに業務が進むでしょう。
海外企業との契約に電子契約を用いるメリット
では海外企業との契約に電子契約を用いるメリットにはどのようなものがあるでしょうか。ここからはメリットについて解説します。
契約時間の短縮
契約を締結するためには紙の契約書で締結した場合、原本にサインして相手方に返送し、相手方がサインして一通を返送して契約書の締結が完了するといった流れをとる必要があります。
しかし、海外契約の場合郵送に時間がかかってしまうため返送してさらに返送してといった手間だけで一ヶ月近くかかってしまうこともあります。
電子契約を用いた場合、こうした手間を省く事ができるため、契約にかかる時間を大幅に短縮することができる点は大きなメリットと言えるでしょう。
郵送コストの削減
紙で契約を締結した場合、前述の通り契約締結までに相手方と何度か郵送でのやりとりを行う必要があります。国内であれば郵送コストは大した金額ではありませんが、海外の場合には費用が跳ね上がるため、こうしたコストは決して無視できるものではありません。
電子契約を利用する場合には電子メールでのやりとりになるためこうした郵送コストをほぼゼロにすることができます。
このように郵送コストを大幅に削減することができる点も電子契約の大きなメリットといえるでしょう。
契約データの管理が容易に
紙の契約書は万が一紛失してしまうと相手方から写しを交付してもらうといった方法しかなく、管理する上でも原本は本社で保管し、写しは各担当者が保管するといった複雑な構造になりがちです。しかし、電子契約の場合には管理が電子データのみとなるため一元化した管理が可能となり、紛失といったおそれもなくなります。
このように契約データの管理が容易になる点も電子契約のメリットと言えるでしょう。
海外企業との取引におけるよくあるトラブル
電子契約を利用する事で海外企業ともスムーズに契約を締結することが可能です。他方でスムーズに契約締結できるとはいってもトラブルに巻き込まれるリスクもゼロではありません。そこで、ここでは海外企業との取引におけるよくあるトラブルについて解説します。
契約内容や条件のすれ違い
海外契約の特徴の1つとして契約書に記載された事項が全てであるという前提が挙げられます。そのため、国内の取引のように、機械を購入したら設置工事までがワンセットだと考えていたら、設置工事などは行ってもらえなかったといった事態に陥りかねません。
このように海外取引では契約の内容や条件について文化や商慣習の違いからすれ違いが起きがちです。
こうしたトラブルや契約内容のすれ違いが起こらないように契約書の内容については国内取引以上に最新の注意を払って確認しておく必要があります。
支払遅延
支払時期についても契約書に明記しておかないとトラブルになりがちです。相手方は検収完了後に支払いと考えていたが、こちらは引渡完了後に支払いを受けることができると考えていたといったすれ違いから支払い遅延に陥ってしまうといったケースも想定されます。
また、こうした事態に陥らないために支払時期を明記していても支払いを踏み倒そうとする相手方もいます。
海外企業相手の場合には国内取引と異なり与信管理が難しいため、経済状態の悪化している企業を見分けるのが難しいため、国内取引と比較して踏み倒されるリスクが高まってしまいます。
有名な企業に限定して取引を行う、与信調査を丁寧に行う等、海外企業と取引を行う際には特に慎重に行う必要があると言えるでしょう。
契約書交渉でなんどもやり取りする
前述の通り海外企業との取引では契約書の記載内容が非常に重要視されます。そのため契約書の記載内容をどうするかといった契約書交渉で何度もやりとりするケースが少なくありません。
しかし、これは両方の当事者にとって非常に重要な作業となるためこうした作業にかかる労力をいとわないことが後にトラブルを防ぐ上で非常に重要となります。
まとめ
海外企業との取引においては国内取引以上に電子契約を導入するメリットが大きい反面、サービス自体が英文契約に対応していなければ意味がない点には注意が必要です。リーガレッジは英文契約書に対応しており、電子契約サービスもDocusignと連携しているため海外企業でも頻繁に利用されているサービスであり非常に海外契約に強くなっています。リーガレッジを活用して海外企業との取引をスムーズに行える様にしましょう。