契約書に更新期限を設ける理由とは?よくある課題や期限管理の方法も紹介!
契約は、契約書に署名や捺印をした契約締結日をもって発効されることが一般的であり、この日をもって法的な義務と権利が発生します。また、相手と交わした契約が続く限り、当事者は契約によって拘束されるため、期間や終了日も決めなければなりません。本記事では、契約書管理に携わる方向けに、契約書に更新期限を設ける理由やよくある課題、期限管理の方法を紹介します。
契約書に更新期限を設ける3つの理由
契約書に更新期限を設ける3つの理由をここでは解説しますので、見ていきましょう。
- 不必要な契約が継続されないようにするため
適切に更新期限を設けていない場合、不要な契約が更新されるおそれがあります。たとえば、不要なサービスの自動更新の中止を申し入れなかった場合、さらに1年分のサービス料金を支払うことが求められるかもしれません。
このようなリスクを最小限に抑えるには、社内にある全ての契約書の更新期限を把握し、担当者が更新期限を適切に管理することが重要です。 - 当事者双方に取引の重要性を認識させるため
契約期間が定められていない場合、取引が意味のないまま継続されてしまうことがあります。このような契約関係は生産性が低下し、時間の浪費につながる可能性があります。
しかし、契約期間を定めておけば、当事者双方に緊張感が生まれ、成果を挙げることを目的として、互いに一致して業務にあたることが促されます。当事者間の契約関係に適度な緊張感を持つには、契約期間を明確にしておくことは効果的です。 - 契約上の義務がいつまで存続するかを明確にするため
契約期間が明示されていなければ、当事者が負う契約上の義務がいつまでなのかが不明確になってしまいます。たとえば、秘密保持契約に期間に関する条項がなければ、当事者は無期限に秘密保持義務を負うと解釈しかねません。
また、競業避止義務が定められた契約に期間の定めがない場合、離職後も当事者は競業避止義務への抵触を考えなければならないことにもつながるでしょう。これらのような不明瞭な状態が永続的に続くのは不合理です。契約上の義務が無期限に存続し、多大な負担を課すことを予防するために、契約期間に関する条項は必ず定めておきましょう。
契約書の更新管理でよくある2つの課題
契約書の更新管理でよくある2つの課題についても見ていきましょう。
課題1.更新期限を把握しにくい
契約書の更新期限が一覧で確認できるように整理されておらず、契約期限を把握することが課題となっている企業も多いでしょう。
たとえば、契約満了日を台帳に記載したとしても、更新期限が抜けている場合があります。また、契約内容によっては更新の意思表示に期日が定められていることも考えられるでしょう。
そのため、契約満了日だけでなく、実際の更新期限を把握するためには、台帳に別途項目を追加する必要があります。ただし、契約書が多い場合には膨大な作業負担が発生する可能性があります。
課題2.担当者への通知・連携が難しい
事実上の更新期限が明確になった管理台帳を作成したとしても、定期的な確認を怠ってしまうと、必要な更新が漏れてしまう可能性があります。担当者に業務の一環として、こまめに確認してもらう必要がありますが、常に徹底できるとは限りません。
業務が忙しい時期などは、契約更新の確認を忘れてしまうリスクがあるため、解決策として、契約書を管理する専任担当者を設置し、更新期限が近づいたら、案件ごとの担当者に通知する仕組みを導入することが考えられます。ただ、そのためには社内リソースを投入する必要があるため、コスト面も検討する必要があります。
契約書の期限管理、更新を忘れないための方法
契約書の期限管理や更新を忘れないための4つの方法について解説します。ぜひ、社内で管理フローを作成する際の参考にしてみてください。
管理台帳によって一覧化する
契約書の更新期限や自動更新の有無などの情報を一覧にし、具体的にはエクセルなどを使用して管理台帳を作成することが一般的です。
契約書の管理台帳を作ることは、どこの会社でも行われていますが、重要なポイントは「含めるべき項目」です。契約書の期限などを適切に管理するためには、以下の項目を記載しておくことが大切です。
- 契約書名称・管理番号
- 契約書の種類・契約内容
- 主管部署・担当者
- 契約開始日・終了日
- 自動更新の有無
- 契約の更新期限
- 保存期限
- 契約解除通告期限 など
先ほども解説したように、契約終了日だけでなく「自動更新の有無」と「契約の更新期限」も盛り込んでおけば、いつまでに契約を見直せばよいのかを把握しやすくなります。
契約書を電子データで保管する
ペーパーベースの契約書をスキャンしてPDF化する・もしくは電子契約サービスを利用して契約締結し、契約書自体を電子データとして保管することによって、管理業務を効率化できます。
たとえば、電子契約書はペーパーベースの契約書を保管することとは異なり、保管室などのスペースが不要です。また、パソコン上からいつでも閲覧できるため、契約書を探す・取り出す手間を省けます。
契約案件ごとの担当者を設ける
案件ごとに担当者を設けて、わかりやすい状態で管理することも重要です。契約書の更新期限が管理できていても、担当者が不明瞭なままでは、対応漏れが発生するリスクがつきまといます。
担当者を明確にするためには、管理台帳の項目に「契約ごとの担当部署・担当者名」欄を設けて必ず入力しておくことが挙げられます。ただし、注意点としては、管理台帳のまとめ方によっては「担当者ごとにまとめて表示する」ことが難しい場合もあるため、その点も考慮する必要があります。
契約書管理のシステムを導入する
契約書管理システムを導入することによって、契約書の管理や更新対応の漏れを効率的に予防できます。契約書管理システムとは、契約書の管理を効率化するためのITツールのことです。
なお、弊社が提供する「リーガレッジ(Legaledge)」も契約書管理システムの1つであり、以下のような機能が含まれます。
- 【契約書更新アラート機能】
更新期限の近づいた契約書をお知らせしてくれます。担当者や対応内容も記録でき、管理者による契約書更新を簡単に行うことが可能です。 - 【ユーザーロール管理機能】
管理者はロール管理により一般ユーザの権限をコントロールできます。契約書の登録、閲覧、削除などの権限を制御することにより、機密性の高い契約書にアクセスすることを制限できます。 - 【条文テンプレート】
法務チームが蓄積したノウハウや経験をテンプレートとして作成・保存できます。また、Wordアドインからいつでも照会することができ、ドキュメンテーションの効率化が期待できるでしょう。
契約書の期限を漏れなく管理できる仕組みを構築しよう
契約書の期限管理を漏れなく行う仕組みの構築方法をご紹介しました。契約書の更新期限を適切に管理することで、自社や関係者を不用意に縛ることを防ぐことができます。
早い段階で契約書管理業務を定型化することがおすすめですが、契約書が多い場合は整理に時間がかかります。そんな時には、弊社提供の「リーガレッジ」が役立ちます。契約書管理業務の課題をスピーディーに解決できるので、ぜひチェックしてみてください。