角印とは?丸印との違いや利用時の注意点、よくある質問について解説!
会社で使う法人印の1つである「角印」は、契約書や請求書、領収書といったさまざまなビジネス文書に利用されます。ただし、もう1つの法人印である「丸印」との違いについて理解できていないケースも少なくありません。そこで本記事では、角印の概要や利用時の注意点、丸印とはどう違うのか、よくある質問について解説します。
なお、契約書管理・電子契約ツールを使うことで印鑑の手間をなくすことができます。ご興味ございましたら是非ご覧くださいませ。
角印とは?
角印とは、名称のとおり、形状が四角い印鑑のことを指します。契約書や見積書、請求書など、取引先などに提出する書類の多くに使用されている印鑑です。そのため、使用したことがある方はもちろん、使用したことがなくても見たことがあるという方も多いです。よく社印と呼ぶ方もいますが、これは呼び方が異なるだけで両方とも同じものを指します。
「社印を押しておいて」「社印どこにある?」と聞かれたら、角印のことを聞かれていると解釈して問題ありません。会社が使用する印鑑には、角印の他に丸印と呼ばれる印鑑もありますが、こちらは次項で詳しく解説します。
丸印と角印の違いは4つ
丸印と角印の違いは次の4つです。
- 役割の違い
- サイズの違い
- 印影の違い
- 印鑑登録の違い
それぞれ詳しく解説していきます。
役割の違い
丸印は会社設立時に法務局で印鑑を行った法人の実印・代表者印となります。株券発行や不動産取引、法的な手続きなど、重要な書類に使用される印鑑であり、社会的な義務・責任を負う役割があります。
そのため、管理者を立てて保管のルールを定めるなど、偽装やセキュリティを十分に考慮しなければなりません。
一方、角印の役割は会社の認印です。そのため、丸印よりも使用頻度が高く、社内文書や日常業務など、様々なシーンで使用されます。
担う役割は軽いものの、角印が押印された場合は、契約が有効となるため、丸印ほどではないものの、保管・管理には十分な注意を払うことが求められます。
サイズの違い
丸印のサイズは「直径10~30mmの正方形」と明確に規定されています。そのため、丸印として印鑑登録する印鑑を準備する際は、規定された形状およびサイズ内で作る必要があります。
標準的なサイズは18mmか21mmですが、規定サイズに収まっていれば問題ありません。一方、角印は丸印のように厳格なサイズ規定はありませんが、20~30mm内のサイズで作成されることが多いようです。
印影の違い
丸印の場合、二重の円で、外側の円は企業名、内側の円には役職名+印という印影となっています。
もう少し具体的にいえば、外側には「株式会社×××」と入り、内側には「代表取締役印」と刻印されているということです。また、株式会社は「代表取締役」ですが、会社の形態によって役職名は変化します。
一方、角印の印影は「株式会社×××」というように企業名のみであることが多いです。ただし、場合によっては企業名だけでなく、印や之印が付いているものもあります。
印鑑登録の違い
丸印は会社設立時には法務局で印鑑登録の手続きを行う必要があります。
一方、会社の認印にあたる角印は印鑑登録を行わなくても使用できます。ただ、印鑑登録をしていなくても前述のとおり、押印されれば、効力が発揮されるため、使用する際は注意が必要です。
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角印の押し方などよくある6つの質問
角印でよくある質問は次の6つです。
- 角印の主な利用シーンは?
- 角印と丸印の併用は可能?
- 角印は代表者印として使える?
- 角印は誰が押していいの?
- 角印の効力は?
- 角印の押し方は?
それぞれ詳しく解説していきます。
質問①角印の主な利用シーンは?
角印が利用されるケースが多い書類は次のとおりです。
- 見積書
- 領収書
- 請求書
- 納品書
上記のとおり、角印は取引先などに提出するもの、かつ、契約書と比べて重要度が低い書類に使用されるケースが多いです。また、角印は認印としての役割を持っている他、法的に使用シーンが限定されているわけではないため、社内文書や日常業務に至るまで幅広い場面で利用されています。
質問②角印と丸印の併用は可能?
角印と丸印の併用は可能です。ただし、角印は会社の認印、丸印は重要書類の際に押印する法人の実印・代表者印というように、担う役割の重みは異なります。
したがって、角印と同様の頻度で丸印を使用してしまうと、人目に触れる機会が増えるため、印影を複製されて悪用されるリスクが高まってしまいます。そのため、セキュリティの観点から角印と丸印の併用はおすすめできません。
質問③角印は代表者印として使える?
角印は代表者印としては使用できません。角印が代表社員として使用できない理由は、丸印と違って印鑑登録を行っていないからです。
したがって、株券発行や不動産取引、法的な手続きなど、代表者印が必要な重要なシーンでは、必ず会社設立時に法務局で印鑑登録した丸印を使用しなければなりません。
質問④角印は誰が押していいの?
角印は会社の認印という位置づけであるため、基本的に社員であれば役職などの決まりはなく、誰でも押印することができます。
ただし、認印といっても会社名が入った印鑑である以上は、押印の担当者などをあらかじめ決めておき、書類において必要な印鑑が何かを正しく判断できる部署や担当者を選任しておくのがおすすめです。
質問⑤角印の効力は?
角印は特に使用する頻度が高い印鑑のひとつですが、認印という位置づけであるため、角印には法律上の効力はありません。
ただ、角印を書類に押印することで、書類作成や押印に関する承認のプロセスが定められているという印象を与えることができます。つまり、角印には法律上の効力はないものの、取引先に与える信頼という効力があると言えるでしょう。
また、実印を頻繁に使用する場合、実印の紛失や印影の偽造などのリスクが高まるおそれがあるため、実印とは別に角印を準備することによって、これらのリスクを分散することにもつながります。
質問⑥角印の押し方は?
角印も丸印も押し方の規定が存在する訳ではありません。しかし、一般的に推奨されている押し方が存在します。
角印は、企業情報の最後の文字に、印影の中心が重なるように押すのが望ましいといわれています。その理由としては、企業情報と印影を重ねることで、切り貼りによる文書の偽造防止につながるためです。
一方で丸印は、代表者名の右横に代表者名と重ならないように押すのが望ましいとされています。これは印鑑証明書と照合しやすくするためという理由があります。ただし、印鑑証明書が必要ない場合は、代表者名と印影を重ねると、角印と同じく、切り貼りによる文書の偽造防止につながるため、状況に応じて使い分けてください。
デジタル化で業務を効率化しよう
角印の概要や丸印との違い、利用時の注意点などについてご紹介しました。角印と丸印の違いと聞くと、形状が違うだけと考える方も少なくありません。
しかし、役割やサイズ、印影、印鑑登録というように、両者には様々な違いがあります。当記事で紹介したとおり、角印は会社の認印として様々なシーンで活用できる一方、丸印は印鑑登録を行った会社の実印として、重要な書類に使用される印鑑です。
そのため、丸印は管理者のもと厳格な保管ルールを敷いて丸印を管理しなければなりません。ただ、角印も押印されてしまうと、効力が生じてしまうため、悪用されるリスクがあります。
悪用されるリスクを減らすためには、丸印ほどではないものの、角印も適切な管理が必要となります。電子契約によって電子署名にできれば、ハンコから脱却できるため、角印を使い分ける手間を省くことができます。
角印を使用する必要がなくなれば、管理の手間や悪用されるリスクを低減可能です。電子契約にご興味がある方は関連記事もご参照ください。