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予防法務とは?重要性や取り組むメリットなどについて解説

企業の法務業務への取り組み方には様々な側面があります。臨床法務や戦略法務など様々な法務業務への取り組み方がありますが、その中でも重要なのが予防法務です。そこで、本記事では予防法務の重要性やメリットについて解説するとともに、リーガルテック導入と予防法務の関係についても解説します。

目次

予防法務とは

予防法務という言葉を耳にしたことのある方は多いでしょう。他方で正確な意義を押えている方はそう多くないように思います。そこで、まずは予防法務とはという点から解説します。

予防法務とは

予防法務とは、企業が法的な紛争にまきこまれるのを避けるために予防する取り組みのことをいいます。様々なビジネスを行う企業は常に契約違反や法令違反、情報漏洩など様々な法的リスクにさらされています。
こうしたリスクは起こってしまってからでは回復が難しいものや解決に非常に大きなコストがかかるものも多いため、あらかじめ紛争やトラブルを防いでおくことが非常に重要となります。
そのため、昨今の法務業務ではこの予防法務が非常に重要視されています。

臨床法務や戦略法務との違い

予防法務と一緒に語られることが多いのが臨床法務や戦略法務です。
臨床法務とは、訴訟やトラブルが起こった際に対応を行うものであり、訴訟対応や債権回収などがこれに該当します。
戦略法務とは、企業の意思決定に当たって法務部門が法務面から戦略を主導することをいいます。M&Aにおけるスキームの提案・立案などがこれに該当します。
このように臨床法務と予防法務は紛争やトラブルの対応をどの段階で行うのかといった点が異なりますし、戦略法務は意思決定への関与という点でより早期から法務が事業活動に介在する点が異なります。

予防法務の重要性と取り組むメリット

ではこのような予防法務に取り組む重要性やメリットはどのような点にあるでしょうか。ここからは予防法務の重要性とメリットを解説します。

予防法務の重要性

予防法務は紛争を防止することで、紛争が起こった際に社内のリソースを紛争解決に割くといった事態になることを防ぐことができ、あらかじめリスクヘッジをしておくことで仮に紛争になった場合にも自社にとって不利益な解決となることを防いだり、最小限の不利益にとどめることができるという点で重要といえるでしょう。

予防法務に取り組むメリット

予防法務に取り組むメリットとしては以下の点が挙げられます。

  1. 紛争防止体制の構築
    予防法務を通じて紛争が起こりにくい体制を作ることができるのは大きなメリットです。
    例えば、予防法務の代表的な業務である契約書審査業務では、自社に不利となる条項の修正やトラブルの原因となる条項をチェックしておくことでトラブルを避けたり、自社にとって不利となる事態を防ぐことができます。
    このように予防法務の業務に取り組むことで紛争防止体制の構築が可能となるのです。

  2. トラブル発生時の影響を最小限に抑えることができる
    予防法務はトラブルが実際に起きた際にも有用です。契約書審査の際に仮にトラブルが起きた場合の対応方法をあらかじめ定めておくことで、トラブルの影響を最小限にとどめることができます。
    また、こうした対応を行っておくことであらかじめリスクを予期できるという点も予防法務のメリットの一つといえるでしょう。

予防法務における法務業務

では、こうした予防法務に当たる法務業務にはどのような業務があるのでしょうか。ここからは予防法務における法務業務について解説します。

契約書審査業務

契約書審査業務は、契約書のドラフトを確認し、自社にとって不利な条項が無いかや法的な観点から問題のある条項が無いか等の点について審査・確認を行います。
法務業務の中心を占める業務であり、予防法務の中でも重要な位置を占める業務といえます。
契約書は締結後に変更する事も不可能ではありませんが、自社にとって不利な条項を後から変更するというのは通常相手方の同意を得るのは難しいため、自社にとって不利な条項はあらかじめ締結前に確認しておき修正の交渉を行うのが通常です。
事前にあらゆる場面を想定して条項を作成するというのは現実的ではありませんが、可能な限り様々な場面を想定し、トラブルが起きた際の対応なども条項として盛り込んでおくことで、トラブルが起きた際の影響を最小限に抑えることが可能となります。

社内規定の管理・策定

従業員による情報漏洩などを防ぐ上では社内規定の管理や策定も重要です。特に営業秘密などとして不正競争防止法の保護を受けるためには、社内で漏洩した情報がどのような保護をされていたのかという点も非常に重要となるため、社内規定を適切に策定し管理することは情報漏洩の際に大きなポイントとなります。

株主総会運営

株主総会を会社法の定めに従い適法に運営することも、事後的な決議取消訴訟によるリスクを避ける上で非常に重要です。
株主総会の運営を行う業務は具体的には以下のものがあります。

株主総会の招集通知の作成

株主総会の招集手続は期間制限や株主への通知などについて厳格に定められており、こうした会社法の規定に違反して招集手続きが行われた場合には決議取消訴訟によるリスクを抱えることになります。
こうしたリスクを避けるために招集通知の作成や招集手続を会社法の定めに従って適切に行うことは株主総会運営において大きなウェイトを占める業務です。

想定問答集・シナリオの作成

株主総会の議場において取締役は株主からの質問に対する説明義務を負っています。こうした説明義務違反を生じないように円滑に進めるためには想定問答集やシナリオを作成することで対応することが可能です。

リーガルテック導入と予防法務の関係

では、こうした予防法務の業務にリーガルテックを導入することでどのような効用が得られるでしょうか。ここからはリーガルテック導入と予防法務の関係について解説します。

ナレッジ管理

リーガルテックを導入することで契約書レビューを行う際に過去に締結した契約書の条項を参考に契約書のレビューが可能となるため、必要な条項を漏らすことなく契約書に盛り込むことができ、契約書がもとで生じるトラブルが発生するリスクを低減することができます。

契約書の期限管理

リーガルテックには契約書の有効期限や更新の時期を通知してくれる機能もあります。こうした機能を活用することで契約書の更新などを逃す可能性が低下し、必要な契約書が締結されていないという状態を避け、契約書が存在しないといった紛争を避けることに役立ちます。

契約書審査・レビュー

契約書の審査・レビューを支援する機能の中にはAIによる契約書のレビュー機能などがあり、こうした機能を活用することで一般的な契約書の持つリスクを事前に効率よく発見することができます。
この機能を活用することで不十分な契約書レビューによって事後的なトラブルが生じるといった事態を避ける事ができます。また、社内外の契約書の審査・レビューから締結までのプロセスを記録、管理することで特別に追加した条件などの経緯を可視化することができます。

リーガルテックを活用し効率的な予防法務を

リーガルテックを導入することで契約書審査業務を効率よく行い、必要な条項を漏れなく契約書に盛り込むことで事後的に契約書がもとで起きるトラブルを避ける事が可能となります。
契約業務の効率化を図り、予防法務に取り組むことを検討されている方は是非リーガレッジの導入をご検討ください。

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この記事を書いた人

契約業務一連の流れをDX化するクラウドサービス「リーガレッジ」を提供する株式会社コスモルートが、法務におけるDXを推進するお役立ち情報を発信しています!

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