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発注書とは?個別契約書、注文書、発注請書との違いや書き方、注意点まで徹底解説!

発注書は、商品やサービスを依頼する側が、受注者に対して発行する書類です。下請法に該当しない取引であれば作成する義務はありませんが、商取引をスムーズにするためには欠かせない文書です。
本記事では、発注書の概要や個別契約書、注文書、発注請書との違いや発行する際の流れについて解説します。また、発注書の書き方や送付方法、作成する際の注意点まで解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

発注書とは?

発注書は、商品やサービスを注文する際に、注文内容を明確に記録するための書類です。具体的には、商品やサービスの名称、数量、価格、納期、支払い条件などが記載され、取引の透明性を保つために活用されます。
発注書は、発注者と受注者の合意を明確にして、トラブルを回避するための証拠にもなります。しかし、発注書の発行は法律で義務付けられているわけではなく、場合によっては口頭での契約でも問題ありません。

発注書の役割と目的

発注書は、取引条件を文書化して、認識の齟齬やトラブルを防ぐ効果があります。数量や納期、サービスの範囲などが曖昧なままでは、後々のトラブルの原因となりかねません。

このため、発注書により具体的な内容を双方で確認する必要があります。また、下請法に該当する場合、発注書の発行が法的に求められる可能性があります。

発注書の発行が必要なケース

発注書の発行は、法的な義務ではありませんが、下請業者への製造や修理、コンテンツ制作やプログラム開発の委託といった下請代金支払遅延等防止法(下請法)が適用される取引では、発注書の発行が義務付けられています。
この法律は、下請事業者への不当な報酬削減や支払い遅延の防止が目的で、発注書には取引内容や代金、支払い条件を明記しなければなりません。
また、発注書の交付義務に違反した場合、違反者には罰金が科される可能性があり、法的なリスクを伴うため注意が必要です。
参考:下請代金支払遅延等防止法|e-GOV法令検索

発注書と個別契約書、注文書、発注請書との違い

次は、発注書と個別契約書、注文書、発注請書との違いについて解説します。

  • 個別契約書の違い
  • 注文書の違い
  • 発注請書の違い

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

個別契約書の違い

契約を成立させるためには、売買契約書による合意が不可欠です。売買取引には、すべての取引に共通する内容を規定する「基本契約」と商品の詳細や数量など、取引ごとに異なる内容を取り決める「個別契約」があります。

また、発注書や注文書は、注文側の意思を示す書類であり、受け取った側が承諾すれば契約が成立するのが特徴です。しかし、基本契約で「発注書発行のみで契約成立」と合意があれば、発注書だけで契約が成立する場合もあります。

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注文書の違い

発注書と注文書は、どちらも取引先に対して注文の意思を示すために発行される書類で、基本的な役割や内容に違いはありません。しかし、企業や業界によって使い分ける場合があります。
たとえば、形のないサービスには「発注書」、形のある商品には「注文書」を使う場合があります。こうした違いは習慣で実施されている場合が多く、社内や取引先間で混乱が生じないように、ルールを統一しましょう。

発注請書の違い

発注請書は、受注者が発注者に対して注文の承諾を示すために発行する書類です。これは「注文請書」とも呼ばれ、どちらも同じ意味を持ちます。
また、発注請書は法的な義務はありませんが、発注側が求める場合には提出が必要です。この書類を送付すれば、発注内容に対する確認があるため、トラブルを防ぎ、円滑で信頼性のある取引が期待できます。

発注書を発行する際の流れ

発注書や発注請書は、取引における重要な書類です。株式会社Aが株式会社Bから商品を購入する際の書類の流れを見てみましょう。

  • 発注側(株式会社A)が受注側(株式会社B)に対して「見積書」の発行を依頼する
  • 受注側(株式会社B)が見積書を発行して、発注側(株式会社A)が内容を確認する
  • 見積書の内容で合意に至れば、発注側(株式会社A)が「発注書」を受注側(株式会社B)に送付する
  • 受注側(株式会社B)が「発注請書(注文請書)」を発行して契約が成立する。また、メールやFAXの返信で受注の意思表示をする場合もある
  • 商品納入時、受注側(株式会社B)から「納品書」を発行する
  • 受注側(株式会社B)が発注側(株式会社A)に対して「請求書」を発行する。また、「検収書」や「支払通知書」を発行する場合もある

この流れは、紙の書類や電子データでも同様の効力があります。

発注書の書き方

発注書に記載する項目は、以下のとおりです。

  • 書類のタイトル
    「発注書」または「注文書」と記載する
  • 交付先(受注者)
    商品やサービスを依頼する企業名や担当者名を記入する(法人は「御中」、個人は「様」)
  • 発行番号と発注日
    発行番号を割り当てると、社内で管理しやすくなる
  • 件名
    商品やサービスの正式名称を項目名欄に記載する
  • 発行元の情報
    自社(発行元)の会社名、住所名、連絡先、担当者を記載する
  • 納期、支払い条件、有効期限
    支払い条件には、締め日と支払い日を記載する。また、有効期限が過ぎた場合、再発行が必要となる
  • 小計金額、消費税、合計金額
    税抜きの小計金額と、小計金額に対する消費税額を記載する。合計金額は、小計金額に消費税額を加算した金額
  • 商品の概要や金額
    商品やサービスの名前や単価、数量などを記載する
  • 合計金額
    消費税額を含めた合計金額を記載する
  • 備考欄
    必要に応じて特記事項を記載する。空白でも問題ない

発注書の送付方法

注文書の送付方法には、いくつかの選択肢があり、手渡しや郵送、FAX、メールで送付する方法が一般的です。郵送の場合は、注文書に加え、送付状を同封するのがマナーです。
さらに、FAXの場合も送付状を添えて送信しましょう。メールでは、本文に注文書を添付した旨を記載して、ファイルを添付するのがおすすめです。


一方、書面での正式な発注書面が必要な場合は、事前にFAXメールでコピーを送り、後から原本を郵送か持参するのも可能です。また、WebEDIやECサイトを活用するケースも増えています。
WebEDIは、注文から受注までをオンラインで一元管理でき、AmazonといったECサイトを利用する場合、サイト上で簡単に注文可能で、注文履歴も確認できます。
取引先とのスムーズなやり取りやトラブル防止のため、事前に送付方法を確認しておきましょう。

発注書を作成する際に注意すべきポイントは3つ

次は、発注書を作成する際に注意すべきポイントについて解説します。

  • 見積書の表記と合っているか確認する
  • 定められた期間内の保管を行う
  • 課税文書とみなされる発注書には収入印紙を用意する

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.見積書の表記と合っているか確認する

発注書は基本的に見積書をベースに作成されます。このため、金額や商品名、数量、必要に応じて色やサイズなどの細部まで正確に一致させなければなりません。
もし、内容に変更がある場合は、見積書も同様に修正する必要があります。取引の内容に紛争が生じて、トラブルにつながる可能性があるため、確認を怠らないようにしましょう。

2.定められた期間内の保管を行う

発注書は帳票書類の一種であり、法律にもとづいて一定期間の保管が義務付けられています。法人の場合、確定申告書の提出期限翌日から7年間、欠損金が発生する年度は10年間の保管が必要です。
また、個人事業主の場合は、5年間の保管義務があります。これにより、取引の証拠書類として利用でき、経営の透明性を保たなければなりません。

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3.課税文書とみなされる発注書には収入印紙を用意する

発注書には収入印紙を貼る必要はありませんが、契約書や請書としての役割を持つ場合は、収入印紙を貼る必要があります。しかし、契約金額が1万円未満であれば、収入印紙は不要です。
さらに、発注書が電子データとして作成され、メールなどで送付される場合も印紙は必要ありません。請負書が別途発行されるケースでも、発注書には印紙を貼る義務はないため、状況に応じて確認しましょう。

まとめ

発注書は、商品やサービスを注文する際に、注文内容を明確に記録するための書類です。取引条件を文書化して、認識の齟齬やトラブルを防ぐのが目的です。
発注書の発行は法的な義務ではありませんが、下請代金支払遅延等防止法(下請法)が適用される取引では、発注書の発行が義務付けられています。また、個別契約書や注文書、発注請書はそれぞれ目的が異なり、発注書は発注の意思を示す書類です。
発注書作成には、見積書の内容と一致させ、法律にもとづいた保管期間を守りましょう。さらに、契約書や請書としての役割を持つ場合は、収入印紙を貼る必要があるため注意してください。

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この記事を書いた人

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